突然ですが、管理職に必要なスキルが「絵心」だと言われたらどう思いますか?「正直、学生時代、美術は苦手だった」「絵はヘタなんだよね~」
ご心配なく。ここで言う「絵心」とは、イラストを描く能力ではなく、
「相手にわかりやすく、確実に伝える力」のこと。そのためにするべきことは、いたってシンプル。誰でも今すぐできることです。

管理職必須のスキル「絵心」とは、わかりやすく相手に使える力のことPhoto:milatas-Fotolia.com
田島弓子(たじま・ゆみこ)
ブラマンテ株式会社代表取締役。IT業界専門の展示会主催会社などにてマーケティングマネジャーを務めた後、1999年にマイクロソフト日本法人に転職。当時、営業・マーケティング部門では数少ない女性の営業部長を務める。約8年間の在籍中、個人および自身が部長を務めた営業グループでプレジデント・アワードを2回受賞。 2007年キャリアおよびコミュニケーション支援に関する事業を行うブラマンテ株式会社を設立。
著書に『プレイングマネジャーの教科書』『女子社員マネジメントの教科書』(ダイヤモンド社)、『「頑張ってるのに報われない」と思ったら読む本』(WAVE出版)などがある

管理職にとってのエクセルデータとは?

 プレイングマネジャーの仕事を通じて使い方が大きく変わったのが、数値を管理するエクセルデータでした。

 プレイヤー時代から仕事に欠かせないアプリケーション、自分のノルマがびっしりと並ぶデータをにらみ、蛍光ペンを握りしめて重要なポイントをマーカーし、目標必達の道のりを予側する……。

 まさに、エクセルは自分のための情報管理ツールでした。

 ところがプレイングマネジャーになると、使い方が大きく変わりました。

 それは自分のためではなく、チームへの情報伝達ツールに変わったのです。

 ただ数字を見せるのではなく、いかに正しく数字を読み解いてもらうか、

 何より目標達成にいかにコミットしてもらうか……。

 上司としてそれを果たすのがエクセルを使う上での重要な目的となりました。

 そのために、出力データにさまざまな補足を加えるようになりました。
 重要ポイントには数字の裏側にあるストーリーを伝えたり、
 目標の意味を理解してもらうためにコメントを添えるなど、
 コミュニケーション上のもう一手間を加えるようになったのです。

 そのときに感じたのが、コミュニケーションツールとしてのデジタルの限界でした。