所得についても同様で、3万ドル未満の層は55%がヒラリー支持で、トランプ支持は31%。一方、7.5万ドル以上はヒラリー支持が43%でトランプ支持は47%と逆転するんです。

「トランプ支持者が低所得の白人ブルーカラー層」というのは虚構であって、「トランプ支持者はヒラリー支持者よりも所得が高い傾向にある」というのが正しい情勢分析になります。

 また、支持率は全体ではヒラリー氏が上回っていましたが、ヒラリー支持者は若者や黒人、ヒスパニックが多い傾向にありました。米国でもやはり若者の投票率は低いです。一方で、トランプ支持者は高齢で、しかも熱烈な支持者が多かったので、実際に選挙に行く割合はトランプ支持層が高いという予測が成り立ちます。

政府、米国研究の有識者の
外交チャネルの偏りこそリスク

――日本のメディア、有識者も同じ過ちを犯してしまいました。

 官僚、学者、メディアなど日本の米国通といわれる有識者は、米国政治全般に関しては詳しいのかもしれないけれど、選挙については素人でしかなく、米国のリアルを理解していません。

 彼らは、米国滞在中に大学メディア、役人など極めてリベラルな人たちと接触する機会を多く持つことになり、エスタブリッシュメント(既成勢力)との人間関係ができ上がります。

 彼らが米国でヒアリングする際に接触しているのは、こうしたリベラルなエスタブリッシュメントばかりなので、情報にバイアスがかかります。

2015年4月には、米大統領選に立候補したランド・ポール上院議員とも面会している。渡瀬氏は写真左
わたせ・ゆうや/1981年東京都生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了後、選挙コンサルティング会社を起業。米国共和党保守派に独自のパイプを持つ

 トランプ陣営に関与していた安全保障関連のスタッフと面談した際には、「日米の外交的な関係は極めて希薄なものになっている」との指摘を受けました。

 トランプ外交をリスク扱いする以前に、トランプ氏が勝利した今はむしろ、日本政府及び米国研究の有識者の外交チャネルの偏りこそが最大のリスクになっていることを理解すべきです。

 従来までの外交チャネルを見直して、対米外交の在り方そのものを抜本的に改革することが必要だと思います。