和製アマゾン?寺田倉庫が「倉庫業」で生き残れる理由執行役員の月森正憲さんと「minikura」チームリーダーの柴田加那子さん
Photo by Toshiaki Usami

寺田倉庫は、いったい何をしている会社なのだろうか。社名に「倉庫」とあるにもかかわらず、ホームページには「ワイン」「アート」「メディア」などのキーワードと共に美しい写真が並ぶばかりで、「いったい何が本業なんだ?」と翻弄される。「得体の知れない感じが、またいいみたいで」と語るのは、執行役員の月森正憲さんだ。5年前にスタートした「minikura(ミニクラ)」事業の責任者でもある。

執行役員は元フォークリフトの作業員

 見るからに切れ味鋭い、という印象ではない。どちらかと言えば飄々として朴訥。だが、発する言葉の1つひとつに説得力を感じる。理由はすぐに判明した。「私はもともと現場でフォークリフトの操作をしていたんです」と、月森さんは言った。

和製アマゾン?寺田倉庫が「倉庫業」で生き残れる理由月森さんが寺田倉庫に入社したのは、1998年のこと。当時は、倉庫で汗だくになりながら働いていたという

――えっ、フォークリフトを操作されていたんですか?

「入社したのは1998年ですから、今から18年くらい前のことになります。当時、寺田倉庫には3つの事業ドメインがありました。1つは物流、次がトランクルーム事業、もう1つが不動産。私はこのうち物流部門に配属されたんです。

 てっきりスーツを着て内勤の仕事をするのかなと思っていたら、ぜんぜんで(笑)。夏場は倉庫の作業で汗だくになるため、Tシャツに短パン、リュックサックを背負って出社していました」

――具体的にはどんな作業を?

「海上コンテナってご存じですか? 出社するとですね、倉庫の前に20~40フィートくらいあるコンテナが8隻ぐらい、ずらり並んでいるんです。そのコンテナの中に3000箱から4000箱くらい、入っている。中身がワインですと、ひと箱あたりの重さが15キログラムくらいにはなるわけですが、それを全部、手で降ろさないといけないんです」

――じ、人力で!?

「コンテナを開けまして、種類別にワインを仕分けながら荷降しをするんです」