世界的な潮流として
財政政策に軸足

 下記の図表4は、リーマンショック以降のG20サミットにおける財政政策の対応を振り返ったものだ。世界的危機の後、財政重視に転じたが、その後、欧州債務危機や米国の格下げ等によって緊縮重視に転じた。しかし、2013年以降、世界的な回復の緩慢さから、再び、財政の機動性を重視するスタンスに変わりつつある。

◆図表4 G20サミットにおける財政の評価推移

トランプノミクスで日本企業に円安の神風、世界は財政拡大へ<br />

 図表5はIMFの財政政策に関する最近の見解を示したものだ。ここでのキーワードは「Fiscal Space」(財政を発動する余地)の概念にあるが、そうした余力が乏しくても中期財政健全化計画を確約しながら短期的な政策余地を作り出せるとある。こうした見方は、今日の安倍政権における「三本の矢」のなかでの財政重視の対応をサポートするものである。

 米国の元財務長官サマーズ氏が唱える「長期停滞論」のなかでの処方箋も財政政策によるものであり、クリストファー・シムズ・プリンストン大学教授を中心とした「物価水準の財政理論」(Fiscal Theory of Price Level:FTPL)でもマクロ政策での財政が重視されている。

 今日の安倍政権の財政政策は、以上の国際的な財政を重視する潮流のなか、少なくとも緊縮によって回復を妨げるものを回避するといった姿勢が長期間貫かれると展望される。その延長線上からは2019年の消費増税も先送りされる可能性もあるだろう。

 また、米国のトランプ新政権も大規模な減税やインフラ中心に財政拡大に軸足が移ると展望される。1980年代のレーガンが登場した時に減税が大きな旗印になったように、米国も含めて世界的な経済政策の潮流が財政に軸足が置かれるとの期待が生じやすいだろう。トランプノミクスは政策フレームワークのゲームチェンジャーの可能性をもつ。