今年の『紅白歌合戦』。注目のSMAPは結局出演辞退となったわけだが、この件を踏まえて改めて、「芸能人やスターという人たちの社会的責任」というものを考えてみたい。個人的にはやはり、SMAPは紅白に出場すべきだったと思う。ただし、「多くの国民がそれを望んでいたから」というわけではない。実際、今回のSMAP辞退のニュースが流れてもネットではあまり騒ぎが起きていないし、SMAP関連番組の視聴率を見てもそれは明らかだ。
たとえば、11月11日放送のTBS系『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』の視聴率は14.2%。前年同時期(2015年11月13日)が14.5%なので、数字はほとんど変わっておらず、SMAP解散の影響はまったくない。一方で、11月14日放送のSMAP看板番組といえるフジテレビ系『SMAP×SMAP』は6.4%。この番組、SMAPメンバーのジャニーズ脱退騒動以降、視聴率がどんどん低下していて、この日はワースト記録を更新してしまった。6%という数字は、通常のゴールデンタイムのバラエティ番組なら、即座に打ち切り決定の数字である。
これは何を意味するかというと、たとえば、中居くんなど「SMAPの個々のメンバーを観たい」と思う視聴者はいても、「SMAPそのものを観たい」と思う人はあまりいない、ということだ。その意味でもSMAPはすでにバラバラ状態にあるといえるが、そのようなSMAPを無理矢理にでも紅白に出場させれば、それはそれで話題になるだろう。視聴者も「ついでだから観ておこうか」となるかもしれないが、有終の美として喜んだり、感慨深く見てくれたりする視聴者は、意外と少ないのかもしれない。NHKはまだスマップ出演の道を探っているという報道もあり、前代未聞の五元中継の噂も出ているようだが、そこまでする価値は残念ながらいまのSMAPにはないのではないか。そんなことよりも、嵐や初出場のKinKi Kidsの見せ場をどう作るかに腐心したほうがいい、と僕は思ってしまう。
なぜSMAPは
紅白に出場すべきだったのか?
というわけで、紅白でSMAPの最後のステージを見たいという国民はあまりいないと思うのだが、それでも僕はやはり、SMAPは紅白に出場すべきだったと思う。それは、かつては国民的アイドルといわれた人たちの「社会的責任」だからだ。
紅白は、いまでも国民的番組だ。近年、視聴率低下がいわれていて、昨年は歴代最低視聴率を記録した。しかし、それでも39.2%(第二部)を記録している。第一部でも34.8%だ。二部に関していえば、ここ数年、40%台を取っている。通常のバラエティやドラマであれば、40%を取る番組はお化け番組だ。全盛期の木村拓哉主演ドラマでも30%程度である。