神戸市営地下鉄では、新型コロナ感染拡大を防ぐため、手すりなどを消毒
神戸市営地下鉄では、新型コロナ感染拡大を防ぐため、手すりなどを消毒 Photo:Buddhika Weerasingh/gettyimages

権威ある研究所が発表した
衝撃のシナリオ

 WHOがついにパンデミック宣言を出した新型コロナ騒動。小池都知事をはじめ、主要関係者が強行の姿勢を見せている東京五輪に対しても、米トランプ大統領が「延期したら?」と発言するなど、中止か延期の可能性が濃厚になってきた。子どもは感染しにくいし、感染しても大事に至らないといわれていたが、3月12日には新潟で乳幼児の感染者が出たと報道された。いくら子どもは重症化しないといわれているが、子どもの死亡例もあるとWHOは言及している。ついには春のセンバツ甲子園も中止、TDLもユニバーサル・スタジオも休園延長と、何とも暗いニュースばかりの中で恐縮だが、今回はそれに追い打ちをかけるような情報をお伝えする。

 アメリカのブルッキングス研究所が新型コロナの感染拡大を受けて、「The Global Macroeconomic Impacts of COVID-19: Seven Scenarios」というタイトルのレポートを発表した。著者は、オーストラリア国立大学教授のワーウィック・マッキビン氏とローシェン・フェルナンド氏の二人。マッキビン氏は、ブルッキングス研究所のシニア・フェローでもある。

 タイトル通り、このレポートは新型コロナが世界経済に与える打撃を予測したものだが、その数字は衝撃的だ。当レポートでは、S1~S7までの7つのシナリオごとに予測が立てられている。S1~S3はほぼ中国だけで感染拡大が起きた場合のエピデミック(局所的流行)シナリオ、S4~S6が世界でパンデミックが起きた場合のシナリオ、S7は緩やかな感染が数年にわたって起きた場合のシナリオだ。WHOがすでにパンデミック宣言を出していることから、当記事ではS4~S6のシナリオを紹介したい。うちS4を「最善」、S5を「中間」、S6を「最悪」と記すこととする。

 このレポートでは、新型コロナの感染拡大による「労働者数の減少」「製造業への打撃によるビジネスコストの上昇」「資本市場が受けるショック」「消費市場へ影響」「政府支出」など、さまざまな側面から経済的打撃について予測をしている。そのすべてをここで詳細に紹介することはできないが、もっとも分かりやすい数字はやはり「GDP損失額」だろう。今回のパンデミックによって、2020年の世界のGDP損失額は、最善の場合でも2330億ドル(約244兆円)、最悪の場合は9170億ドル(約962兆円)にも上るという。日本だけに限っても、約14兆円から約57兆円。アメリカは約44兆円から約185兆円。中国は約44兆円から約170兆円だ。街中の閑散ぶりを見て不安を感じた人も、こうやって改めて数字を突きつけられると、事態の深刻さを感じられるだろう。

 しかし、衝撃的な数字はこれだけではない。新型コロナの影響による死亡者数はさらに衝撃的だ。日本では最善で12万7000人、最悪で57万人にもなると予測されている。世界トータルでは、最善で約1500万人、最悪で約6800万人だ。あまりに現実離れした数字だと怒る人もいるだろう。しかし、WHOは新型コロナの致死率を3.4%としている(1%程度とする研究者も複数いるが、本当のところはわからない)。これは、1918年に5000万人以上が死亡したスペイン風邪と同程度だ。当時、日本の人口は約5000万人。スペイン風邪によって、40万人が死んだと推計されている。