幼児向け通信教育講座の草分け的存在である「こどもちゃれんじ」が東アジアで会員を増やしている。なかでも中国では、会員数が30万人を超え急増中だ。中国といえば、一人っ子政策などにより親の教育熱がとても高い土地柄。教育関連業界は激戦を極めているが、その市場でゼロから事業をスタートしたベネッセは、どのように会員数を伸ばしていったのか。ベネッセコーポレーション松平隆・東アジア本部長兼中国事業総代表に話を聞くと、日本のやり方が通用しない海外でビジネスを成功させるための、重要なカギが見えてきた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)
会員数が30万人突破!
中国進出は20年前から視野に
――中国版「こどもちゃれんじ」である「楽智小天地」が、続々と会員数を増やしていらっしゃいますね。
2006年6月にスタートし、毎年新学期9月の会員数は06年3万人、07年8万人、08年13万人、09年18万人と順調に伸びています。特にこの1年間でぐっと膨らんで、4月の時点で22万人だった会員が9月には27万人になりました。最新の数字では、今年度の目標としていた30万人会員を突破した状態です。
事業スタート時はターゲット層として、中間所得層の上の方から富裕層といった全人口の約10%をイメージしていました。しかし現在は、中国の経済発展ともにその層は約20%に拡大してきており、それも会員増の追い風になっていると思います。
――現在、好調に会員を獲得されていますが、中国進出はいつ頃から視野に入れていらっしゃいましたか。
実は約20年前から中国進出への想いがありました。その頃からベネッセグループ会長の福武には、将来的なグローバル化が視野に入っており、何としても大きな市場である中国に事業を根付かせたいという想いがあったようです。ただし、当時の中国は日本企業がいきなり進出しても、ビジネスを行える環境ではありません。そこで我々は、同じ中華圏であり、既に経済発展し、教育熱も高い台湾で約20年前に事業をスタートしました。台湾で実績とノウハウを積みながら、常に中国市場へ進出の機会を窺っている状況でした。
現在の中国事業に関しては、2004年にプロジェクトを立ち上げ、市場調査などを行っていました。そして、05年の初頭から約1年半の準備期間を設け、06年6月に開講しました。
――日本企業をはじめ外資が中国でビジネスを行うのは、規制の面などからみてもとてもハードルが高いといえます。実際、どのような方法で進出されたのですか。