中国の直近の最大のイベントは来年11月の共産党大会だ。これは5年に1回、秋に開催される。中国の国会に当たるのは全国人民代表大会(全人代)年で、年に1回3月に開催される。しかし、それよりも共産党の人事が決まる共産党大会の方が重要である。そのため、安定的な経済運営が望まれている。逆にいうと荒療治の改革はできず、経済の質の悪化を止められない。

日本:限界の金融政策

 アベノミクスの一環として行われていた日本の量的金融緩和政策(クロダノミクス)も限界に近くになっている。金融政策に極限まで重きを置いた政策である。金融政策はそもそも短期的な政策であり、人のカラダでいうと輸血の様なものだ。一時的に体調は良くなっても、悪いところは直せない、つまり構造的な問題には対応できないのである(第41回第44回参照)。

 さらにその後導入されたのが、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的質的金融緩和である。これはマイナス金利政策を維持(-0.1%)しながらも、10年物国債の金利(長期金利)を0%程度に誘導しようとするものである(第44回参照)。

 経済・金融系のトラブルはリーマンショックやアジア通貨危機など、海外から来ることが多い。前述のトランプノミクスによる長期金利の上昇(米国債価格の下落)につられて、日本の長期金利も上昇(日本国債価格の下落)している。実際、大量に国債を購入している日本銀行は国債の含み損が10兆円となっている。しかも、最近では9年物国債までプラス金利だ。日銀は大量に国債を保有しているだけに、上がりすぎる金利は日銀のバランスシートを棄損する可能性がある。

 さらに気になるのは、日本国債の格付けである。現在、日本政府は毎年約40兆円の国債を発行している。その発行済み国債残高の4割は、この10年間でもたらされたものだ。

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 格付けを見ていると、上から5番目のシングルAだ。実は国債の格付けとその国の企業の格付けにはある程度の連動性(上限)があるといわれている。日本国債と連動する(上限となる)のは、銀行・生命保険などの金融機関。次に、間に2つ(2ノッチ)開けて、電機やガスなどの規制産業がある。さらに、すべての日本企業は日本国債と4つ(4ノッチ)開けて設定される。ということは、国債の格付けがあと一つでも下がると、上から6番目となり、その影響で日本企業ではいわゆるAAAの企業はなくなってしまう。格付けの影響は海外での業務に影響が出る。いわば、トヨタですら最上格のAAAから落ちることになる。日本企業全体へ影響が及ぶことになるのだ。

 これだけ国債が大量に発行され、中央銀行たる日銀が大量に保有していると、今後、長期金利(国債価格)の管理が日本の金融政策のメインとならざるを得ない。

(帝京大学経済学部教授 宿輪純一)