米国ドラッグストア第2位、CVSケアマークのロイヤリティ・プログラムが、業績に好影響を与えている。同社ではロイヤリティ・プログラムを活用し、とくにフロントエンドでの売上増強の武器としている。実際、仕組みを持たないウォルグリーンとの比較では、過去5年間でウォルグリーンがほぼ横ばいなのに対して、CVSケアマークは着実に売上を伸ばしている。ウォルグリーンが2009年後半から始めたCCR(顧客中心小売)も、このフロントエンド売上増強が目標となっている。

 CVSケアマークのプログラム「エクストラケア」では、まず購買額の2%が「エクストラバックス」と呼ばれるクーポンで四半期ごとにまとめられ、店舗にあるクーポン・ディスペンサー、購買時のレジ、またはオンラインでプリントすることで得ることができる。調剤での支払いに対しては、処方せん2枚で1ポイントが加えられる。

 クーポンは店舗での購入またはオンライン販売での利用、さらに会員になることで週ごとの特別割引も得られる。ただ、これだけなら通常のポイントシステムと同じだが「エクストラケア」ではこれらに加え、特別なエクストラバックスの還元がある。主にメーカー協賛によって行われており、特定商品を購入すると値引き分がエクストラバックスとしてレシートと一緒にプリントされる。

 たとえば、昨年10月のキャンペーンでは「コルゲート・センシティブ」と「エナメルプロテクト」のセット歯磨きを購入すると、店頭価格7.98ドルに対して2ドル分のクーポン「エクストラバックス」がもらえる。この2ドルはそのまま次の購入に使え、コルゲートのサイトに行くと、さらに1ドルのクーポンもあるため、結果、3ドル分のメリットが得られることになる。このクーポンがCVSの店舗への来店動機と買い上げ額の増加に役立っている。対象商品購入時の値引きではなく、次回の購入分に充てることで来店頻度を増やしている。また、買い上げ額の多い常連客には、購買履歴に応じてカスタマイズされたクーポンも発行されている。

 CVSケアマークでは、ほかにも「CVSアドバイザー」という調査プログラムを持っており、会員である生活者からのフィードバックを受ける。オンラインによる調査である同プログラムは、家族構成や所得、購入商品と購買先などをベースにして、商品に対する意識などを詳細に調査している。年数回行われる調査の参加者には、エクストラバックスのクーポンが送られる。これら集められたデータは、品揃えや販促の材料として利用されているのだ。同プログラムは01年2月からスタートしており、導入後のフロントエンド商品の売上を3%増加させる効果があったといい、10年現在で6400万人の会員を持つまでに成長している。

 発行されるエクストラバックスのクーポン利用率は75%と高く、CVSケアマークでは90%まで高める目標を持っている。

 他の特典としては、協賛するNB商品の購入時に無料の商品が提供される「フリー・エクストラ」、メーカーのクーポンの自動値引き、雇用主が提供する医療費補助口座である「フレキシブル・スペンディング・アカウント」(*)を持つ顧客に対しては、OTC購入履歴の管理、また大学の費用積立であるカレッジ・セービングス・アカウントを持つ顧客に対しては、オンライン購買額に対して5%を、その口座に寄付する「ユープロミス」などが用意されている。CVSケアマークでは、これらのプログラムによって、より効果的な販促を行い、医療やリコールなどの情報提供によって、より顧客との密接な関係構築をめざしている。

*健康保険料増加を抑制するため、自己負担額の多い健康保険に入る代わりに、一定額の医療費補助を与えることで、社員がその補助を効率よく使い、全体の医療費を下げようというプログラム。より高い質の医療やサービスを、少しでも低価格で生活者が得られるよう、競争原理を応用している。


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