さらにいえば、1割負担(高所得者は2割)で利用できる介護保険ですら、決められた支給限度額まで利用しているわけではない。

 介護保険は、7段階ある要介護度に応じて、利用できる介護サービスの限度額が決まっており、たとえば介護度がいちばん低い要支援1は5万30円が限度額だ。だが、実際に使っている費用の平均額は、要支援1が1万9695万円で、限度額の4割程度にとどまる。

 こちらも介護度があがるにつれて、使用する介護サービス費も増えるが、要介護5でも平均費用額は22万3054円。限度額36万650円の6割程度しか介護保険を使っていないのだ。

 これは、介護保険で利用できるサービス内容が決まっていて、自分が利用したいサービスがないという可能性もあるが、1~2割負担といえども、サービスを使えばそれだけ利用者負担も増える。

 介護は、医療とは異なり、生活の延長線上にあるものだ。専門家でなければできないものばかりではないし、家族や親戚、友人、近所の顔なじみさんなどが、その役割を担えるものもある。

 とくに厳しい家計運営を強いられている人は、介護費用はできるだけ安く抑えたいと思うだろうし、実際に身近な人の手を借りながら、なんとか乗り切っているのではないだろうか。

 規制をなくして、今以上に混合介護を始める事業者が増えても、利用できるのはお金に余裕のある人だけだ。混合介護の弾力化が介護市場を爆発的に拡大させ、介護従事者の処遇を改善するというストーリーは、はなはだ疑わしいものがある。

 反対に、サービス費用の値崩れを引き起こし、介護現場にさらなる疲弊を生む可能性すらある。

自由競争の先にあるのは
介護料金の大幅下落

 ヘルパーやケアマネージャーなどの介護従事者は、専門的な知識と訓練を積んだ専門職だ。高齢者介護の中心を担う彼らの処遇は、本来ならもっと高められるべきだが、現状、介護職員の月収は全産業の平均よりも10万円程度低い。

 介護は日常生活の延長にあり、以前はそれぞれの家庭で担ってきたものだ。そのため、人々の意識のなかに介護に対して高い費用を支払うことに抵抗があるのではないだろうか。その認識が改められない限りは、混合介護が弾力化されても、保険外サービスで高額な費用をとるのは難しいという見方もある。