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世界トップ企業の大胆不敵なサプライチェーン

グローバルサプライチェーンが
直面するリスクとはなにか

――BCPを超える持続可能なサプライチェーンの構築

PwCコンサルティング
【第5回】 2017年1月11日
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(1)テクノロジーを活用したグローバルリスクマネジメント

 日本ではBCPというと地震をはじめとした自然災害を想定するケースが多い。しかしグローバルでみると自然災害だけでなく、テロや政治不安など、より数多くのリスクが存在する。

 サプライチェーンに関して言えば、前述したとおり国内のBCP対応を実施している企業は多いが、グローバルで海外サプライヤーも含めたサプライチェーン分断のリスクを分析し対応できている企業は少ない。

 サプライヤーの供給能力、計画管理、障害に対する認識を高め、供給リスクを分析することで避けられない災害などに備えること、また起きてしまった災害を速やかに察知し、収益への影響分析ができるようにすることが肝要である。

 「ビッグデータ時代のサプライチェーンリスクマネジメント」(Supply Chain Risk Management in the Era of Big data, 2015 Yingjie Fan University of Hamburg)では、サプライチェーン計画とサプライチェーンのリスク管理を改善するため、サプライチェーンのリスク管理システムのスキームを提示している。

 図のスキームではサプライチェーンの内部環境と外部環境を分けて情報収集している点に注目したい。内部環境モニタリングでは、企業の基幹システムなどから収集した内部データ、すなわち購買、生産、品質、売上、物流および会計データを監視する。ここではデータの変化に気づく仕組みが不可欠であり、ビッグデータから意味のある情報を抽出し分析することによってリスク感知能力を高める対策を実施する必要がある。

 一方で外部環境モニタリングでは、公共のメディア、ソーシャルネットワーク、および専門的データベース化など様々なチャネルから広い範囲の情報を収集し分析を行う。これらの情報の多くは構造化が難しく、また地理的情報や業界情報は同じエリアで活動している企業や同じ業界では類似しているケースが多い。そのため、データ分析も含めて環境の監視を専門とする第三者に外部委託する方が効率的といえるだろう。

(2)数値管理に基づく経営戦略との連携

 課題の2点目はリスクマネジメントの重要性やインパクトを定量化し、経営戦略と連携することである。

 リスクを定量化することは容易ではない。リスクの経営に関するインパクトが示せないまま、他社事例に倣い規定やマニュアル策定に終始してしまうケースが多く見受けられる。

 リスクが将来どのくらい損失をもたらす可能性があるのか、もしくはビジネスメリットが得られる可能性はあるのか、判断材料として複数のシナリオと共に収益分析を実施しなければ、企業が本質的に対応すべき内容を見出すことはできない。

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どのような業界にいようとも、戦略を遂行することは難しくなっている。IoT、AI等技術の進歩は私 たちの価値観を変え、顧客の価値観もまた著しく進化している。競争相手は全く新しい事業モデルを構築し、挑戦してくる。これまでの常識が変わっているのだ。これはリーダーシップを担うすべての人に共通する課題ではなかろうか。 本連載では企業が戦略を実行するために必要なオペレーションの最新モデルを取り上げ、グローバル市場で生き残る企業の条件を探る。

「世界トップ企業の大胆不敵なサプライチェーン」

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