開店時間を遅くすると、
なぜ残業が減るのか?

 株式会社渡辺住研(埼玉県/不動産賃貸)の渡邉毅人社長が、以前、「小山社長が喜びそうな話があります」と言うので聞いてみると、「早く帰れと社員に言っても帰らないので、さじを投げた途端に残業が減った」と言うのです。

「昔は、終電に走って乗るような会社でした。『早く帰れ』と私が言っても、なかなか帰らない。そこで私はあきらめて、店舗の営業時間を変えた。どうせ遅くまで会社に残るのなら、始業時間を遅くしないと、社員の健康に影響します。
 それまでは9時オープンでしたが、段階的に遅くして、2009年7月には、10時30分開店にした。要は私が負けたわけです。『オレが何を言っても遅くまで会社に残るから、ゆっくり出勤していいよ』と」(渡邉社長)

 出勤時間を遅くした結果、渡邉社長が思いもしなかったことが起きました。

「午前10時半にお店を開けます。1時間半後にはもうお昼ですから、午前中が短く感じられます。すると、社員の意識が変わりました。『すぐに午前中は終わるから時間がない。ダラダラしている暇はない』と思うようになった。結果的に、店舗のオープンを遅くしたら残業が減って、早く帰れるようになったのです」(渡邉社長)

 それまでの渡辺住研社員の心の中には、「どうせ今日も遅くなるから、ゆっくりやればいい」という甘えがあった。でも、開店時間が遅くなり、時間の使い方が変わり、細切れ時間を大切に使うようになって仕事がはかどるようになったのです。

「時間があると思うと、ダラダラする。けれど、時間がない中で、『あれもやりたい、これもやりたい』と思うと、『急がなくちゃ』と時間をムダにしなくなる。『こんな不思議なこともあるのか』と私も衝撃を受けました」(渡邉社長)