敷地内にたたずむ
慰霊碑と観音像

 話を聞かせてくれた地元住民男性と公衆トイレ横にある喫煙ベンチで別れた後、入れ替わりにやって来たのが20代と思しき若い男性2人組だ。「男になりにきました!」「社会勉強です」と口々に話す彼らは、ノーベル賞受賞者を数多く輩出している関西の名門大学の学生だった。

「一通り歩いたんですが、僕らくらいの歳と変わらへん子がいっぱいいてますね。でも、ちょっとキレイ過ぎて緊張しますわ。ええなと思う子いてたんですけど、ほか見てる間に誰か入ったみたいで。早い者勝ちなんですね」

 事実、飛田に遊びにやって来た男性たちは皆、「総じて女性のレベルが高い」という。記者が確認した限りでも、多くの男性が納得できる容姿の“お運びさん”が揃っていた。ここでは常に直接「顔見世」をする。だから風俗店のような写真修正もない。ごまかしのきかない世界だ。

「行ってきます!頑張ります。終わったら報告します!」――。

飛田で唯一、撮影OKな文化財「鯛よし 百番」。ここから南に向かうと、慰霊碑と観音像がある

 名門大学生たちを見送って、記者が向かったのは登録有形文化財に指定されている「鯛よし 百番」だ。ちゃんこ鍋、寄せ鍋などの鍋料理が評判の「鯛よし 百番」は、撮影NGの飛田新地にあって唯一、撮影OKの場所だ。

 この「鯛よし 百番」を南に歩くと、「慰霊碑」と「観音像」がある。

 いろいろな事情からかつての飛田遊郭で働き、暮らしていた人たち。慰霊碑は、様々な事情や世間の風評で、遊郭の外に住むこともままならず亡くなった霊たちが安らかなれと願い、建てられたという。

 一方、観音像は、地域に貢献しながらも、身内にも看取られることなく亡くなった多くの遊女たちの霊を供養し、彼女たちの苦労を無為にしないように地域が一丸となって奉って行きたいとの願いから建てられた。

「お兄ちゃん、鯛よしさんは写真撮ってもええけど、この慰霊碑と観音像は手を合わせるとこやから写真は堪忍やで」