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シリコンバレーで考える 安藤茂彌

2015年に日本の財政破綻が発端となって、日本発の金融危機が起こるのか?

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第41回】 2011年3月3日
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 今年1月27日に米国の格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ社が、日本国債の格付けをAAからAAマイナスに格下げした。上から3番目であったのを4番目に順位を下げたのである。その理由は、日本は自らの意思で財政を立て直す意思(財政規律)があるのかについて疑問が出てきたからである。

 IMFは、「日本の国債残高は2015年に国民貯蓄を上回る」と試算している(英エコノミスト誌の報道)。その根拠は早いピッチの国債の発行と貯蓄の減少見通しにある。10年前の国債発行残高は389兆円だった。それが2011年度には943兆円になる。この10年間で毎年55兆円ずつ国債残高を増やしてきたことになる。

 貯蓄超過分は450兆円あるから単純計算すると8年間ぐらいは食い繋げる。さらに日本は経常収支黒字国であるから、これは貯蓄増加要因になる。昨年の黒字は17兆円であった。為替が円安に動けば、黒字はもっと増える可能性がある。だがIMFは、国民が貧しくなれば貯蓄率は下がり450兆円は減ると見ている。

 では諸外国に安心してもらうようにするには、どうすればよいのだ。国債発行に頼らなくても済むように、厳しい財政規律を導入するしかない。それには税収を上げ、支出を抑えるしかない。

 まず税率を引き上げるのである。日本の税率を諸外国との比較で見てみると、GDPに占める税収の比率はOECD諸国の中で最も低い。だが、その内訳を見ると法人税率は最も高く、消費税率は最も低い。現在の消費税5%はOECD諸国の中で最も低いのである。欧州の付加価値税はすでに20%になっているし、米国では9%前後の売上税が課されている。

 ちなみに、現在の消費税5%を10%にすると10兆円の税収増になる。20%に増やすと30兆円の税収増になる。それでもまだ国債を減らすことはできない。国債残高を現状水準で止めるには27%の消費税導入が必要である。子ども手当などをばら撒いておれる状況には全くないのである。

 支出を抑えるのは至難な業である。とりわけ難しいのは社会保障費の取り扱いである。日本は人口の老齢化が世界で最も早く到来する国である。日本より老齢化が遅れる欧州諸国は自国の将来を考え、着々と対策を講じている。年金支給開始年齢の引き上げ、公務員と民間との年金格差是正、高額所得者への支給額カット等である。

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安藤茂彌
[トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ

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シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

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