「本来、ヘリパッドの工期は2017年の2月まででしたが、2016年内完成へと変更され2ヵ月前倒しで工事が進められるようになりました。1月にはオバマ政権が終わり、ケネディ駐日大使も任務を解かれるわけですから、その間にヘリパッドを完成させて返還記念式典を、という政府の見栄があるのでしょう。広大な山間部で抗議活動を阻止しながら突貫工事を進めようとしているわけですから、機動隊もかなりの数が必要になる。そのため、高江のような140~150人の小さな集落に、人口の3倍以上の隊員が詰めかける異様な事態になったのです」

 抗議活動の最中、大阪府警の機動隊が、目取真氏に対して「土人」と吐き捨てた。同氏は、その様子をビデオで撮影しインターネットで公開。動画は瞬く間に拡散し、沖縄県民に対する「差別」だとして、全国でも物議を醸した。しかし目取真氏は、高江ヘリパッド問題に限らず、普天間飛行場を始め、米軍基地が沖縄にあり続ける状況そのものが沖縄県民への差別の表出だと語る。

「対等な立場なら、相手に不愉快な思いをさせたら人間として心が痛みます。しかし、沖縄の米軍基地の問題においては、新聞を読んで大変だなとは思っても、ヤマトゥ(日本本土)の人間はまったくの他人事ですよね。沖縄を植民地としか思っていないから、基地を押し付けてもなんの心も痛まない。だから土人という言葉も平気で口から出てくるんです」

米軍基地はなぜ沖縄に?
「沖縄経済の基地依存」は本当か

 一方、差別とは関係なしに、沖縄の米軍基地配備は安全保障上、必要だと考える人も少なくない。そうした意見に対して目取真氏は「あまりにも軍事に無知」だと反論する。

「そもそも日米安全保障条約なんて、自動参戦条項(戦闘が発生した時に同盟国の部隊が自動的に参戦する条項)がないわけです。尖閣諸島の問題にしても、ヤギしかいない日本の無人島のために、アメリカ軍が中国と血を流して戦闘するはずがありません」

「第一、海兵隊は臨機応変にどこにでも出動できるから意味があるわけで、必ず基地が沖縄でなければならない、という主張は海兵隊の根本的なメリットを否定しているようなもの。北朝鮮や中国の脅威論にしても、九州だって朝鮮半島や中国に近いのに、どうして米軍基地は沖縄である必要があるのでしょうか。米軍が守ってくれると無条件に信じて思考を停止した人たちが、漠然とした不安感だけで沖縄に基地を固定化しようとしているのは差別そのものです」

 建前上、自国の軍隊を持てない日本は、軍事面ではアメリカに依存することになった。その結果、日本は請け負うべきリスクを沖縄のみに押し付けているのではないかと、目取真氏は語る。

「憲法9条改正に反対するリベラルにしても、自衛隊の強化をよしとしないので、軍事はアメリカに依存したほうがいいとなる。結局、右も左も沖縄に基地を押し付けて、安保のプラス面ばかりを享受している。マイナス面を引き受けない卑怯なやり方です」