マグネットホスピタルの
磁力は"温かさ"と"自由"

――患者さんも随所に登場していますね。諏訪中央病院はずいぶん、医師と患者さんとの距離が近いように感じます。

 ほかの病院とはぜんぜん違うと思います、とにかく温かい。マグネットホスピタル(患者・医師・看護師を磁石のように引きつけて離さない魅力ある病院)だと思います。

 田舎病院で、救急医療や高度医療の面では、ぜんぜん大した病院ではありませんが、これほど若い医者が全国から集まってくる病院はないでしょう。日本中、どんなに有名な病院も若手の医師不足で困っているけれど、うちにはそれはありません。

 理由の第一は、患者さんに対しても医師に対しても、温かいこと。決して見捨てません。そして二つ目は、自由であること。その人らしくいられることを常に大切にしています。

 日本の病院はたいがい大学の関連病院で、慶應義塾大学や東京大学といった大学の下部組織のようになっている。それ以外の大学の人も当然いますが、なかなか部長や院長になれないなど、学閥主義がはびこっています。

 僕はもともと、そういうことは嫌いで、オールウエルカムです。よその大学から来る先生が不安じゃない土壌を、時間をかけて作り上げてきたし、これからも受け継がれていくでしょう。

――人を惹きつけるにはやはり「温かさ」が大事?

 21世紀は、「心の温かさ」が、すごく大事だと思います。

 資本主義が壁にぶつかっていることは間違いないし、世界はこの数年大変なことになっています。そういう中で、資本主義社会は大きな発想の転換を迫られているわけですが、そのためには、一人ひとりの人間の意識が変わって行かないといけません。トップが変わったり、革命起こしたりして、上から変えて行くことは、もうできないことだとはっきりしています。

 僕は、来週からイラクの難民キャンプに行くのですが、行くことによって、一人ひとりの意識を変えたいと思っています。温かい発想が必要です。

 イラクやシリアから、一時期凄い勢いでヨーロッパに難民が出て行きましたね。それをやればヨーロッパの治安や経済が悪化するのは目に見えています。だけど、拒絶したり、追い出すのは間違っています。