前回は個人型確定拠出年金(愛称、iDeCo)を活用する前に、今の高齢者の現状を把握してもらおうと、高齢社会白書のポイントを紹介いたしました。そこから“地獄の沙汰も金次第”的な事実、つまり、充実した老後を過ごすにはお金が必要で、そのためには若いうちから準備をしておかなければならないことが浮き彫りになりました。悲しいですが、これは公的年金の給付額が徐々に減っていく今の日本の現実なのです。
そんな中、昨年、公務員などの共済年金が厚生年金に統合され、同時に公務員の特権と言われていた「職域部分(上乗せの年金給付)」も「年金払い退職給付」へと変更されました。結果として一部給付減額となりましたが、一方で公務員は来年からは新たにiDeCoに加入することができるようになりました。オヤジの皆様の中にも公務員の方はいらっしゃると思いますので、今回は公務員の方を対象に、給付減額と選択肢の拡大が一度に押し寄せた今、何をすべきなのかについてお話ししたいと思います。
公務員の年金制度がどう変わったのか?
昨年、公務員向けの公的年金制度であった共済年金が、民間サラリーマンと同じ厚生年金に統合されたことはニュースにもなったので、覚えていらっしゃる方も多いと思います。具体的には、公務員の方も民間サラリーマンと同じ制度に加入することになり、「職域部分」については段階的に廃止され、徐々に受け皿制度である「年金払い退職給付」にシフトしていくことになります。完全に「年金払い退職給付」にシフトすると、モデル年金月額は毎月約2万円から毎月約1万8000円へと2000円ほど下がってしまいます。また、今までは2万円が終身で(亡くなるまで)もらえたのですが、「年金払い退職給付」では終身年金の割合が半分まで下がり、もう半分は10 年または20年の有期年金となります。つまり、定年退職された方の老後の生活を支える力は弱くなってしまったのです。
また、実は年金制度の統合の前に退職手当の水準訂正が実施されています。人事院が調査した時点(平成23年8月)では、民間サラリーマンの退職金の平均は2547万7000円、公務員の平均は2950万3000円であり、その差は約400万円もありました。それが、共済年金が統合された2015年9月までに各差が是正されますので、公務員の方にとっては退職手当が減り、年金額も若干減るので、踏んだり蹴ったりと言う状況なのです。