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米国で半数の家庭が喜ぶ!?
アマゾンの業界破壊的クレジットカード

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第421回】 2017年1月19日
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すでに米国の半数の家庭は
アマゾンプライム会員に

 アマゾンのクレジットカードはこれまでもあった。だが、「アマゾン・リウォーズ・ヴィザ・シグネチャー・カード」での買物の割引は3%止まりだ。今回は、プライム会員にふさわしい高い割引率を提示している。プライム会員ですでにこのカードを持っている場合は、自動的に「プライム・カード」へアップグレードされる。

 さて、アマゾンがプライム会員を喜ばせ続けようとする理由は明らかだ。プライム会員になったユーザーは、通常ユーザーと比べて買物に費やす額が2倍以上という。そうした人々に対して、今回のような特典カードを提供することによって、アマゾンはさらに売り上げが期待できる。

 なぜなら、いつもは近所の店で買っていたような商品も、5%も割引されるのなら「これからはアマゾンで買おう」ということになるからだ。2日待つのが面倒だからとリアルのスーパーで買っていた食品や日用品の買物が、こうしてアマゾンへ移動する。衣服で5%の割引も大きい。アマゾンには今や、”ないものはない”というほどに多様な商品が揃っているので、たいていの場合は苦労はない。

 かくして、既存のプライム会員からはさらに大きな売り上げを掘り起こし、他方もっと多くの人をプライム会員に引きつけるといったことが、このカードで可能になるというわけだ。

 これまでもアマゾンは、プライム会員を囲い込むことで確実な売り上げを上げてきたわけだが、その囲い込みがまた一気に強固になった。驚いたことに、すでにアメリカの家庭の半分近くがプライム会員になっており、その数は5400万人に上るという(コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ調べ)。すでに“国民的会員制度”と言っても過言でないくらいの人気度だ。

 アマゾンの手厚さもどこかで行き止まりになるだろうと見ていた人々も多かったろう。だが、まだまだサービス強化は続きそうだ。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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