県内に目を向けてみると、上越、中越、下越という三つのエリアと佐渡ヶ島に大別される。気をつけたいのは、地図上の「上」、つまり北から順に、上越、中越、下越ではないこと。京都に近い南から上越、中越、下越の順だ。

 上越新幹線の終点新潟駅のある新潟市は、実は下越エリア。上越市、糸魚川市などを通って金沢へとたどり着くのは北陸新幹線である。

 む、なんだかややこしい?

 この程度でややこしさを覚えてはいけない。実はもっとややこしい「立ち位置問題」が新潟県民にはつきまとっている。

 新潟の所属は実に曖昧だ。「中部」「北陸」「東北」「北信越」「関東甲信越」などさまざまな区分があり、時と場合によって所属が変わるのだ。

 電気は東北電力、ガスは北陸ガスの管轄。NHKの天気予報では「関東・甲信越」で、高校野球は「北信越地区」だ。地理的な分類では「中部地方」と分類される。さらには北海道東北知事会、国税庁関東信越国税局、農林水産省北陸農政局、と行政においてもその分野ごとにコロコロと所属が変わる。

 では、県民の自覚としてはどうなのだろうか。どの分類がしっくりくるのか聞いてみると、出身地域や人によって、さまざまな答えが返ってきた。

 「東北とは言われたくない」というのは新潟市出身の男性。理由は「福島、山形など東北は訛りが強いけど、新潟は訛っていないから」。

黄金色に光る魚沼市のコシヒカリ田園

 一方で、魚沼市、五泉市出身の2人は「地理的に近い福島に親近感がある」といい、「信濃川が流れているのは新潟と長野だけ」という理由で長野に親近感を感じている人もいた。

 さらに、「都市度で言ったら北関東には負けていない。新潟は政令指定都市ですから」という発言もあり、その人が故郷のアイデンティティーとして何に重きを置いているかが垣間見える結果となった。

お米はスーパーで買わない、
実はラーメンの選択肢も豊富

 そんな新潟県民が進学や就職で県外に出ると、必ず憤りを覚えることがひとつある。

 それは「ご飯のまずさ」だ。

 東京・表参道にある新潟県のアンテナショップ「ネスパス」で働く田端恵絵さん(34)は、米どころ・魚沼市の出身だ。「新潟のお米は、甘みがあっておいしい。大学で県外に進学したのですが、学食で食べたごはんが苦くてショックでした」と話す。