「アクの強さ」は日本一といっても、異論はないだろう。ヒョウ柄のおばちゃん、“アメちゃん”、六甲おろし、お好み焼き定食、探偵ナイトスクープが好き、笑いが最優先、図々しい、緑が少ない、ゴテゴテしている、浪花節、やしきたかじん(故人ではあるがファン多数)の地位が高い。聞けば、出てくる出てくる、大阪にまつわるイメージ(もしくは偏見)。
よしもと芸人をテレビで見ない日はないし、関西弁をテレビで耳にしない日もない。知ったつもりになっている「大阪」だが、
「大阪って、なんとなく怖い。楽しみ方もわからないので、出張で大阪に用があるときは、京都に泊まります」
という女性もいた。
「はい、お釣り百万円!」
大阪が濃い3つの理由
「なんとなく怖い」大阪のイメージを生み出しているものは何なのか。出身者たちに話を聞くと、とにかく「濃ゆい」県民性、いや、府民性が見えてきた。
まずは一つめ、人が濃い。6年前に東京に引っ越した大阪市出身の30代の男性は、全国チェーンのカフェで店長をしていた頃の経験をこう話す。
「レジでの会話ひとつとっても、お客さんがとにかくグイグイ入ってくる。誕生日いつなん?何が好きなん?って聞かれて、誕生日にチーズをもらったことがあります(笑)。旅行に行ったときに店舗に対してお土産を買ってきてくれるお客さんもいました」
別の大阪市出身の男性も言う。
「飲み屋のカウンターで飲んでいても、知らないうちに知らないおばちゃんが話に入ってきますよ(笑)」
そんな大阪人の類稀なる対人スキルに関連して紹介したいデータがある。
物騒な話だが、それは自殺率の低さだ。人口10万人あたりの自殺者数(警察庁発表、2015年)は14.7。ワーストの秋田県が26.8で、大阪は全国でもっとも低い数字だった。市町村レベルでの対策の強化が奏功している面もあるが、おせっかいで一見「濃ゆい」大阪の人間関係が、抑止力になっていることも否定できないのではないだろうか。