名古屋駅前の大開発が進む。17年4月にJPタワー、JRゲートタワーが全面開業するほか名駅南地区の再開発、ささしまライブ24も建設中だ

 名古屋市観光文化交流局が実施した都市ブランド・イメージ調査(平成28年7月発表)の結果は、愛知県人にとって、なんとも不本意なものだったかもしれない。名古屋市のほか、札幌市、東京区部、横浜市、京都市、大阪市、神戸市、福岡市の全国主要8都市を対象とした調査で、名古屋は「買い物や遊びで訪問したい街」で最下位、「最も魅力にかける都市」で最上位と惨憺たる結果だった。

 調査結果で市は「都市イメージが十分に確立されていない」とその理由を分析している。

「『今度名古屋に行くけどどこに遊びに行ったらいい?』と聞かれるのがいちばん困る」と話すのは名古屋市出身の30代の男性だ。「おいしいもの食べてきて」と”なごやめし”をアピールするのが精いっぱいだという。

 世界遺産などの誰もが知る観光地があるわけではない。近年は工場見学などの産業観光や、信長・秀吉・家康のふるさとをアピールする武将観光などに力を入れているようだが、残念ながらまだ認知度が高いとは言いがたい。

 だが、観光で訪れたいかどうかと、住みやすいかどうかはまた別の話。「住む」という観点から行われた調査では、対照的に満足度の高い結果が表れている。平成25年度の第2回県政世論調査では89.5%の人が「いま住んでいる地域は住みよい」と答えているのだ。観光での名誉を挽回すべく、今回はその「住みやすさ」の理由について、愛知県の知られざる個性を紹介しながら、探っていきたい。

観光よりも豊かな産業と住み心地を重視
でもやっぱり気にかけてほしい

「もともと愛知県は地元志向が強い地域です」と説明するのは、愛知県東京事務所の職員である。

 県内には大学も多く、他の都市に移り住む機会となる進学や就職のタイミングでも、愛知県民の多くが地元を選ぶ。今回の記事を書くにあたって取材を受けてくれたのは東京に進学、就職した人たちだが、そうした人は少数派のようだ。「特に名古屋の人は、名古屋は東京の縮小版、ぐらいに思っていますね。なんで東京に行く必要があるの?って」(名古屋市出身、30代男性)という声も聞こえる。

 前述の世論調査で「住みやすい」という声が圧倒的に多かった背景には、こうした住民の地元への愛着や、東京と比較しても遜色ないとするプライドの高さがありそうだ。それはどこから生じるのか。