トランプ氏当選以降、一気に3000円以上の値上がりを見せた日経平均株価。しかし、現状でははっきりしない値動きが続いている。一見すると不透明性が高い状況に見えるものの、「トランプ相場」の到来を的中させた外資系金融マーケット・ストラテジストの村上尚己氏によれば、日本株のマーケットにはきわめて「シンプルな構図」があるのだという。日本のメディアが垂れ流す「通説」を徹底的に批判した同氏の最新刊『日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?』から一部をご紹介しよう。
「ドル円・株価の連動」は
じつは正常な姿ではない
トランプ氏当選後に、1ドル100円前後の円高状況が一気に修正されると、1万6000円付近まで急落していた日経平均株価も、7日程度で1万8000円台にまで大きく上昇した。現時点では1万9000円前後で推移している。これだけの短期間で3000円以上の伸びを見せたのは、2014年11月以来のことだ。
2012年末にアベノミクス相場がはじまって以来、為替相場で円安が進むと、それに連動して日経平均株価も上昇してきた。反対に、円高に動くと株価が下落する。両者はずっと高い連動性を示しているわけだ。
日本株とドル円がきわめて高い連動性を保っているこの状況は、2000年代半ばからすでに10年以上続いている。このため、若い世代や投資経験がそれほど長くない人は、両者は連動しているのが当たり前だと考えているかもしれない。
ただ、じつを言うと、日本株とドル円相場は以前からずっと同じ動き方をしていたわけではない。たとえば、1999~2000年のように、円高と株高が同時に起きていた時期もある。
そのため、「いくら為替が円安・ドル高に動こうとも、日本株が高値を更新するとは限らない」と主張するアナリストもいるようだ。そこで今回は、下記のような通説を検討することにしたい。
[通説]「どれだけ円安が続こうと、やはり株価は先行き不透明」
【真相】否。為替・株価は2020年まで「連動」が続く。