日本経済は「快癒の時期」を迎える
私の最新刊『日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?』でも強調しておいたことだが、これまでの日本経済は、本来の力を発揮できないひどい状況にあった。その淵源は、日銀によるデフレ放置というとんでもない失策にある。日本経済の最大の病巣はデフレであり、これが日本社会全体を深いところで蝕んでいる。
毎年3万人を超えていた自殺者数、ブラック企業などの雇用環境をめぐる問題、高齢化にも大きく関わる社会保障の問題、子育てや教育の問題、そして、日本人のマインドのなかに密かに、しかし着実に広がっている閉塞感―こうしたことの大半は、真っ当な経済政策が打たれていれば解決したはずのことなのだ。
しかし、専門家たちもメディアも、日銀のデフレ放置を容認(ともすれば賞賛)するかのような情報を発信し続け、この国をより貧しくする片棒を担いできた。
しかし、いま状況は大きく変わっている。日本がこのデフレという病を完全に克服するための条件が、かつてないほどに揃いはじめているからだ。私は、遅くとも東京オリンピックが開催される2020年頃までには、日本経済が正常化していくだろうと予想している。
私が考える「正常化」とは、インフレ率が2%程度の緩やかな伸びで安定し、本来の実力どおりに日本の国内総生産(GDP)が成長を続ける状態に戻ることである。
これにより、日本の失業率は1990年代半ばと同様2%台半ばに改善し、就業を希望するほとんどの人が働ける状態、経済学の用語で言うところの完全雇用(Full Employment)が実現するだろう。さらに、メディアで頻繁に騒がれている日本の財政赤字の問題も、この過程で大きく改善していく。
裏を返せば、日本経済はいまだ異常な状態にあるということだ。いまはまさに日本がこの病を回復していく過渡期であり、完治に至る2020年頃までは、ドル円と日本株の連動が続くというのが私の基本的な見方である。
もちろん、かなり先までの見通しなので不確実性は高いが、この連動性がいつまで続くのかを知っておくことは、今後、日本人が資産を選択したり、実際の投資を行ったりするうえで大いに役に立つはずだ。
なぜこの過渡期にはドル円・日本株の連動が続くと言えるのか?説明しよう。