災害医療③
役割別チーム医療

 石巻市では、基幹病院としては唯一石巻赤十字病院だけが、大きく被災しなかった。そのため災害対策本部も同病院に設置され、実質的に石巻市における医療の中心として機能している。

 だが、未曽有の災害で情報が錯綜していることに加え、全国各地から大勢の災害医療チームが入れ替わり石巻市に応援に来ることから、すべての医療ボランティアや災害医療チームに対してきめ細かく役割分担を振り分けるのが難しい状況だ。

 もしかすると、ある災害医療チームが被災地に行ったところ、すでに現地の医療ボランティアが治療していたり、同じ患者を2度診察する事態になりかねない。こうなっては、せっかくの医療支援が十分に機能しなくなる。

 ガバナンスが効いた医療体制を築くには、各々の災害医療チームが石巻赤十字病院など中枢機能を持つ災害医療対策本部に、こまめに指示を仰ぐ必要がある。また、チーム別に役割を分けるのもいいだろう。患者の情報収集に特化したチームや、感染症予防の指導に特化したチームがあってもいい。

 さらに、医療以外の専門家の力も借りたいところだ。

 第3回の連載でも書いたように、薬を効率よく被災者に届けるにはロジスティクスの専門家が必要だ。

 マスコミの一部が被災者一人ひとりの情報を集めて記録してくれるのも助かる。情報システムの専門家が、被災者の仮住所の情報を一覧できる仕組みを作ってくれれば、現場の情報の混乱が少しは落ち着くだろう。医療分野以外からの専門家の力を借りながら、被災者を支援する医療体制ができれば理想的だ。

十二分に頑張っている彼らに、
「頑張れ」とエールを送ることはやめよう

 我々のような災害医療チームはともかく、もともと石巻赤十字病院で働いている医療者たちは、家族が津波の被害者になりながらも、不眠不休に近い状態で治療に取り組んでいる。

 また、同病院に届いた医療物資の量を見ると、日本中の人たちと企業から、精いっぱいの支援が届いていることに、日本の底力を感じた。