共働き家庭の一般化や、少子化が進んだ昨今。子どもに無関心過ぎる親、過放任な親、過保護・過干渉な親が散見される一方、下の子や老親の世話、手伝いの範疇(はんちゅう)を超えた家事労働を強要する親が目につく。こうしたケースの中には、親の意識の有無にかかわらず、「子どもは親の所有物」と勘違いしている場合もある。「あなたは子どもの子どもたる時間や居場所を奪っていませんか」(ライター・グラフィックデザイナー 旦木瑞穂)
鬼畜のような父が「末期がんで余命カ月」
湧き上がった感情は…
関東地方在住の高戸禎子さん(仮名、40代・既婚)は、10年ほど前から両親とは疎遠にしていた。
ある日の夕食後、突然母親から着信があり、迷ったが電話をとった。
「お父さんが末期のがんで、余命2カ月だって!」
母親は普段から何かと過剰で過敏な人だったが、約10年ぶりの母親はより一層取り乱した様子だった。
高戸さんは強い衝撃を受けると同時に、父親に対する激しい怒りが湧いてきた。その怒りは、「今度はこんな手を使って邪魔してくるのか。いつもいつも私の人生を邪魔しやがって!」というものだった。
そんな怒りが湧いてきた理由は、高戸さんの生い立ちにあった。