企業の基本料金を3.5倍にする

 第4回で述べたように、企業の場合には、すべての企業について、基本料金における料金単価を一律に値上げすべきだと考えている。

「価格弾力性-0.1」を仮定すれば、需要を25%削減するには、基本料金の単価を250%引き上げればよい(つまり、現在の3.5倍にする)。

 ただし、企業の場合は、もう少しきめの細かい対応が必要だ。必要なのは夏の昼間なので、この時間帯の基本料金だけを高くすることが考えられる。工場操業の夜間へのシフトを促すには、夜間料金を現在よりも安くすることも考えられる。

 ただし、いずれにしても重要なのは、第4回で述べたように、ペナルティを十分高くして契約電力を強制することだ。

 なお、以上で述べたのは、価格弾力性について一般に用いられている数字を用いたごく粗い検討にすぎない。これは、価格改定を考える場合の目途にすぎず、実際にはもっと詳しい調査が必要だ。実際に行なう場合には、アンケート調査等によって補完することが必要だろう。

 また、第1回に述べたように、需要弾力性について不確実性が残ることから、ここで提案している方法を実施しても、必要とされる需要カットが確実に実現する保証はない。だから、計画停電方式をバックアップとして準備しておくことは必要である。均衡価格は、本来は試行錯誤によって決めるべきものなのだ。

 価格弾力性というのは、需要量を従属変数にしているから、以上で実現するのは、総需要の減少だ。ただし、全体が低まればピークも低まる。また、家計の場合は、夏のピークは、昼のかなり長い時間帯続くので、ピーク抑制にも寄与するだろう。

電気料金引き上げを吸収できるか

 電気代が上昇することは、家計にどのような影響を与えるだろうか?

 2010年家計調査によると、消費支出3,027,938円のうち、電気代は101,048円であり、消費支出中の比率は3.3%だ(家計調査、1世帯当たり品目別支出金額、総世帯。

 決して無視できる金額ではないが、教養娯楽費358,923円や交際費163,117円に比べれば、かなり少ない。