東電は中部電が安心してジェラの最終統合に合意できる事業計画を出せるか。電力業界内でも注目が集まっている Photo by Yasuo Katatae

 6年以上にわたって途絶えていた東京電力ホールディングスの社債市場への復帰が、2016年度中の実現に向けて大詰めを迎えている。

 確かに業績は堅調だ。1月31日に発表された16年度第3四半期の業績は、燃料費調整制度による電気料金の単価下落で売上高が前年比16.8%減少したものの、コスト削減が功を奏し4期連続の経常黒字を達成。自己資本比率も10年ぶりに20%台へ乗せた。

 実際に社債を発行するのは東電の子会社で、確実に利益創出が見込める送配電事業会社(東京電力パワーグリッド)だ。そうしたこともあり、かつてのように、優良銘柄として市場から評価される可能性が高い。

 廣瀬直己・東電社長は決算発表の席上、「今年度の発行へ向けて努力していく」と話したが、足元の業績からは、「社内では今年度の社債発行は既定路線」(東電関係者)という楽観論が広がっている。

鍵握る新事業計画

 一方で、社債発行は帳尻合わせとのうがった見方もある。

 というのも、今年春、東電・中部電力の火力発電・燃料調達事業の合弁会社JERA(ジェラ)が、最終統合へ向けた判断を行う。その最終判断を左右するのは、「ジェラや中部電に、東電を通して国の関与が及ばないかどうか」だと、中部電関係者は打ち明ける。