伝え方を意識すれば、性格も変えられるはず

佐々木 遅刻してきた人に「やる気がないのか!帰れ」と怒鳴ることもできるし、「遅刻みたいなつまらないことで評価を落としたらもったいないよ」と諭すこともできる。でも、両方とも言っていることは「遅刻するな!」なんですよね

佐々木 2017年の早い段階でこの話が聞けて良かった!(笑)

坪田 いえいえ、僕が言うことじゃないかもしれないですけど。

佐々木 これ、「伝え方」と通じるところがありますよね。例えば、遅刻してきた人に「やる気がないのか!帰れ」と怒鳴ることもできるし、「遅刻みたいなつまらないことで評価を落としたらもったいないよ」と諭すこともできる。でも、両方とも言っていることは「遅刻するな!」なんですよね。

坪田 そうです、そうです。おっしゃるとおりです。

佐々木 考えていることは一緒なのに、前者のように怒鳴ってしまうと相手は「パワハラ、怖い、いやな奴」という印象を持ち、卑屈になる。でも後者は「自分のことをいろいろ考えてくれている、思いやりのある人」と前向きな気持ちになる。伝え方で、人の性格も変わるんじゃないかって思っています。

坪田 まさにそれ、昨日の入試説明会で話したばかりです。例えば「楽天家タイプ」の子は、入試も「きっとどうにかなるだろう」と思っているんだけど、親御さんからすれば不安で「今のままだとヤバイよ。高校も、大学も行けなくて、行き着く先はニートだよ」なんてことをおっしゃる。でも、相手は楽天家なので「うるさいな」と思うだけなんですよ。

 そういう子には、僕ならば「もしめっちゃ勉強して成績がすごい上がると、クラスの女子が「え、○○君何でそんな急に勉強ができるようになったの?」と寄ってくるし、先生も「天才現る、じゃん。何があったの?」って褒めてくれるよ。で、いい大学に行ったら就職先もいくらでもあって、海外旅行に年に2回も3回も行けるようになっちゃうよ。それ、良くね?」って言います。すると、楽天家だけに「あ~、それいいね~」ってなるわけですよ。

佐々木 でも、どちらも言っていることは「勉強しろ」。

坪田 その通りです。前者は「暗い未来にならないように、勉強しろ」、後者は「明るい未来になるように、勉強しろ」なんですね。でも、楽天家タイプには後者が響く。一方で「堅実化タイプ」という石橋をたたいて渡らないようなタイプに同じことを言うと、見る見るうちに顔が険しくなるはず。「そんな甘いことを言って…この人、信用ならない」となる。相手の性格によって伝え方を変えていったほうが、伝わり方が断然違うんです。それを逆に考えれば、伝え方をコントロールすることで、性格を改善することもできるはずなんですよね。

佐々木 初めは、何がいいのかわからないと思うんですよ。例えばテニスで、長年の自分のフォームを矯正されたら初めは違和感を覚えるけれど、そのうちそのフォームが自分のものになっていくというような。自分が発する言葉も同じで、初めは「自分的には本当はこんな言い方はしないんだけど…」と思いながらも、言い方を変えていくとそれが自分の「型」となって、より「伝わる言い方」になる。そして、伝え方が変われば、自分の特性も変わっていく。

坪田 佐々木さん、僕、前からずっと言っていますけど、『伝え方が9割』は教科書になればいいと思っているのはまさにその点で。人間って、言葉でできているんですよね。うちの生徒や親御さんにはぜひ、『伝え方が9割』と『人間は9タイプ』をセットで読んでほしい!

佐々木 たしかに、あわせて読むと、学びが大きくなると思います!