アマゾンで購入したタイヤなどの取り付けサービスが一部のエッソのガソリンスタンドで受けられる(写真はイメージです) Photo by Kazuhiko Hosokawa

ラストワンマイル市場を押さえろ――。「物流の最終拠点」から「消費者の手元」まで、どのように商品を届けるか。この「最後の部分」を巡るビジネスがラストワンマイル市場だ。ネット通販大手のアマゾンなどが先駆的にラストワンマイル市場の仕組み構築を目指しているが、今後、流通業は皆、避けて通れない道である。「ラストワンマイルを制する流通業こそが、市場を制する」という見方がある。市場争奪戦は静かに始まっている。(流通ジャーナリスト 森山真二)

アマゾンの通販で購入したタイヤを
ガソリンスタンドで取り付ける

 米アマゾン・ドット・コムはラストワンマイル市場開拓に熱心な企業だ。すでにドローンで宅配の実験をしているが、そんなアマゾンが日本でもラストワンマイル市場をめぐって、先手を打ち始めている。東燃ゼネラルと提携、3月からアマゾンの通販サイトで購入したタイヤやバッテリーなどの取り付けサービスを、東燃ゼネラル石油のサービスステーション(SS)で始める。

「エッソ」ブランドを展開する系列のサービスステーションのうち、傷やへこみなどの修理、また車検や車体のコーディングなどを実施するなどのサービス業務を行う「ドライバーズリンク」実施店約1200店のうちの一部店舗から展開する。店舗は今後、順次拡大を目指す。

 これは最近、ネット通販で低価格のタイヤを購入する消費者も増えていることに対応したもの。ガソリン販売に加えて、物販やリペアサービスなどの収入を拡大したいSSという拠点に着目した格好だ。

 実はアマゾンは、すでにこのサービスをカー用品の販売が本業のオートバックスセブンなどでも展開している。ラストワンマイルはどこで、どう商品を受け取るかが肝となる。この「アマゾン方式」を取れば、流通業のホームセンターや家電量販店などの流通業が、アマゾンの販路に化ける可能性がある。