日本はどう向き合うか
世界から関心が集まっている

 英国では、とりわけイスラム諸国からの入国禁止令との関係でトランプ大統領の価値観の欠如に西側諸国はどう対応するべきなのか、といった質問が多く出された。なかでも少し意地の悪い質問があり、「日本政府は『価値観外交』を掲げてこられたが、近年安倍首相はプーチン露大統領やトランプ大統領など価値重視とは程遠い指導者と深い交流がなされているが、これをどう説明されるのか」と問われた。

 筆者は、「日本の外交が価値を押し付ける外交だとは考えておらず、途上国に対して民主主義の能力構築支援の協力などを展開している。米国は価値を共有する同盟国であり、トランプ大統領の一国主義(ユニラテラリズム)は問題とは思うが、日米の指導者が個人的信頼関係を強めることは世界にとってもプラスなのではないか。プーチン大統領のロシアとは長年の懸案である北方領土問題がある」と答えた。

 また、シンガポールにおいても出演したテレビでのインタビューの最初の質問は、「トランプ大統領の言動には米国内に止まらず日本の世論も批判的であると承知するが、なぜ安倍首相はこんなに早く、政府の体制すら固まっていない時に訪米し、首脳会談を行うのか。日本の世論上は問題ではないのか」というものであった。

 筆者は「仮に日本国内で批判があるとしても訪米結果をきちんと説明されれば、日本の国益にとって必要であることがわかると思う」と答えた。

 これらは国際社会にある象徴的な疑問を示す断片的なエピソードに過ぎないが、これから日本がどう振るまっていくのかは重要である。いくつかの留意するべき点があると思う。

 第一に、日米関係の緊密化と言っても盲目的にトランプ大統領の米国に従っていくものではなく、同盟関係という大きな枠組みを大事にしながら是々非々で対応していくのだろうし、時には米国に注文を付けることも躊躇してはならない。

 筆者はレーガン―中曽根、ブッシュ―小泉という日米首脳の関係が極めて緊密な時代に担当者としていくつかの場面に遭遇した。中曽根首相がレーガン大統領に対し、冷戦時のソ連の脅威について「西側の安全は不可分」という議論を真正面からされたこと、小泉首相がブッシュ大統領に対し、米国はイラク戦争を開始するに当たっては国連のお墨付きを得るべきだ、という議論を懇々とされたことなどは、その例なのであろう。首脳の個人的関係の緊密化は同盟国として相手の好まないことでも直言できる関係につながることが望ましい。