五大の所属弁護士は、1年目の「アソシエイト」でさえ年収約1000万円の高給取りだ。そんな高コストの弁護士を大量に抱えるには、よりもうかる案件を探さなくてはならない。そこで五大が目を付けたのが不祥事企業だった。

 企業の不祥事に絡んだ法律業務は枚挙にいとまがない。

 第三者委員会の設置に始まり、事実関係の調査、メディア対応、行政や機関投資家への説明、それに関連する訴訟など多岐にわたる。

 これら一連の法律業務を「危機管理」と呼ぶが、危機管理はM&Aと違い「依頼主から値引きを要求されることはほとんどない」(前出の40代弁護士)という。

 M&Aの場合、次の案件も継続的に受任したいがために、法律事務所は多少の値引きに応じざるを得ない。だが、危機にひんした企業に“次”はないかもしれない。だから事務所側も遠慮なくフィーを請求する。会社を救ってくれるなら、と企業側もカネに糸目を付けないことが多い。

 さらに付け加えると、危機管理は数年にわたって継続するケースがほとんどだ。

 実際、タカタは08年11月の米国でのリコールをきっかけに危機が始まった。この先も危機が続くことは確実で、言ってしまえばタカタは、大手法律事務所が10年以上食い続けられる“おいしい”獲物なのだ。

 危機管理案件のこうした性質が、五大が不祥事企業に群がる最大の理由だ。

 森・濱田松本の棚橋元弁護士は「私たちは困っている企業をいかにして助けるかを考えている。ハゲタカとは心外だ」と不快感をあらわにするが、今の五大はかつてそう呼ばれた外資系ファンドの姿に重なる。膨張した図体を維持せんがために瀕死の大企業を食らう、腐肉食性のハゲタカのように。