こうなると、“スカウトメール”というよりも、むしろ“企業PRメール”です。就職が厳しい売り手市場の中で注目を集める手法としては有効かもしれませんが、就活生の場合には、スカウトされている=内定が取れるという認識になってしまうと、企業からの内定を得ていないにもかかわらず、就活に勢いを止めてしまうのです。

 さらに既卒後数年経った若手の転職希望者や、これまで契約社員をはじめとした契約社員経験者になると事態が悪化します。自分に“スカウトメール”が届いたとはいえ、確認してみると、給与が低く抑えられていたり、残業と合わせても厚生年金の保険料等の天引きにより生活が成り立たなかったり、候補者が決まってもすぐに辞めたために人材が埋められず、求人が長いこと掲載されていたりすることがあるからです。結果、就職が決まらず、就活が長引いてしまうのです。

「スカウトメール」を見ると
企業のPR文面が大半である

 実際、就職支援に関わっているとこういう話が少なくありません。「スカウトメールが来ているので」と得意げに話をしてくれるのはいいのですが、、その文面を拝見すると、宛名が挿入されている以外は企業PRの文面としか読み取れないケースが多いのです。このような場合、自分の名前が記載されているだけで簡単に自分だけにしか送られていないと判断することは禁物です。。

 なぜなら、宛名は自動的に挿入できますし、実際にその選考が進んでいない場合には詳細な条件も分かりません。人材価値として本当に評価をしているのであれば、本人のプロフィールに関係のある要素を入れるなど、独自の内容が盛り込まれているはずだからです一斉送信メールであれば、その内容は大雑把なものになるのは言うまでもありません。

 そして前述したようにスカウトの内容の多くは職務経歴から判断されます。30代半ばの私の友人(男性)のケースも同様です。職務経歴書に責任者や副責任者などの肩書きを追加した途端、スカウトメールが増えたり、年収の提示額が上がったりといったように、変化がありました。前職の雇用形態が契約社員やアルバイトなどの期間が限定されている場合には、内容を見極めないと離職率の高い企業の補充だったということにもなりかねません。

 当人をスカウトして雇用するのではなく、その作業をしてくれる人であれば誰でもいいという求人の場合、誰を欲しているのかという意味では、明らかに「スカウト」の定義からズレているのです。