「ひきこもり大学ピアサポート」ゼミナール活動報告会の様子

 成瀬さんは、「あなたのためだから……」といった親子関係などにも見られるお節介について、「他人を世話したいと感じ、他人が自分自身でするべき自己決定に介入すること」だと指摘。過保護や過干渉、パターナリズムは、「自分の判断を他人に一方的に押し付けることにつながり、本人が自分で考え、自分の決定と行動の結果を経験し、自分で責任を引き受ける機会が奪われてしまう」と解説する。

「その相手は、身につけられたはずの自信や自己肯定感、生きるための力など、大事なエンパワーメントを阻害してしまうことになるのです」

普通になろうと頑張ったが失敗
参加者が語る「偽りの再生」

 また、ゼミナール参加者の立場から報告したのは、30歳代のTOSHIさん(ペンネーム)。中学時代の不登校がきっかけで、10年ほど引きこもる生活をしてきた。

 外に出ると、同級生が監視していたり、噂したりしているような気がして、家の中で隠れるようにゲームやネットの生活をしてきた。その後の5年間、非正規やアルバイトなどの仕事に、かなりの無理をして「就労」という形を取ったものの、1年あまり前、心療内科へ行くと「就労不良」と診断され、辞めざるを得なかった。

「10年引きこもった後、5年間普通になろうと頑張った結果、失敗に終わった」

 TOSHIさんは、今から思えば、そのときの自分を「偽りの再生だった」と振り返る。

 再び動けなくなっていた去年春、バラエティ番組で、暴力的支援団体が引きこもる当事者を引っ張り出して、施設に連れて行く放送を見て、ものすごく腹が立った。4月から、当事者活動である「UX会議」や対話の場である「庵」などに参加して、ゼミナールのことを知り、第1回から参加した。

 考え方や答えを上から言われるのではなく、仲間として自分の話が自由にできた。テキストの「リカバリー」を読むまで、「リカバリーとは、引きこもり状態から完全回復して、社会復帰すること」なのだと考えていた。

「引きこもった状態が間違っていて、それを回復させるという考えこそ、私を苦しめてきた。でも、実はリカバリーとは、傷を背負いながら、それに近い仲間たちと助け合って、苦しくなっても応援しつつ生きていくという意味でした。回復とは、かなり違うものだったのです」