メキシコペソ・南アランド・トルコリラ…26年の新興国通貨「二極化」相場の行方Photo:123RF

2025年の新興国通過
明暗分かれる結果に

 2025年の外国為替市場では新興国通貨でも大きな動きが見られた。金利面に加えて値動きでも大きなリターンが生じた通貨もあれば、金利面を加味しても値動きのマイナスが大きかった通貨まで明暗の分かれる結果となっている。

 本稿では、FX市場で人気の高いメキシコペソ、南アフリカランド、トルコリラを取り上げ、2025年の状況を確認し、2026年の見通しや相場に影響与える重要なポイントを整理していく。

トランプに振り回されたメキシコ
それでも堅調だったメキシコペソ

 メキシコ経済はトランプ政権による関税政策に振り回されたが、メキシコペソは意外ともいえる堅調さを示した。第1次トランプ政権時の国境の壁問題もあったことから、メキシコペソは第2次トランプ政権発足当初は最も警戒されていた通貨の一つだった。

 トランプ大統領は2月1日、不法移民とフェンタニルの流入を理由にメキシコに対する国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく25%の追加関税を発表し、3月4日に賦課が開始された。その後も4月にメキシコ製自動車などに対する25%の追加関税が発表され、7月には8月1日からの30%追加関税が発表された(適用は延期中)。対米輸出が生命線であるメキシコ経済にとって厳しい状況が続いた。

 メキシコペソは関税の影響を強く受けた。2025年のメキシコペソは1ドル=20.8台で始まったが、2月の米関税発表後に今年のペソ最安値となる21.3ペソ付近を付け、4月には二番底となる21.1ペソ付近を付けた。

 しかし、その後はドル安ペソ高が進み、6月に節目といわれた19.00ペソを割り込み、12月には18.00ペソも下回る動きとなっている。

 メキシコペソは対円でもペソ高が顕著となっている。年初の1ペソ=7.5円付近から4月の米関税発表後に6.8円付近までペソ安円高となったが、その後は一転してペソ高が進み、高市トレードによる円安もあって12月に入って8.6円台まで上昇し、昨年7月以来のペソ高円安となっている。