しかし、決選投票となった場合、ル・ペン党首の極端な政策を嫌う多くのフランス国民がフィヨン元首相かマクロン前経済産業相のいずれかに投票するとの世論調査の結果も明らかになっている。

 仏独のソブリンCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のスプレッドがさほど拡大していないことからも、フランスのリスクが急速に高まったともいい難い。長期金利の上昇ペースはいささか速過ぎるようにも見える。

 最近2カ月ほどの本邦投資家の外債投資動向に注目すると、フランス国債の売り越しが目立つ。それがフランス国債利回り上昇に大きく寄与していると考えられる。

 ECB(欧州中央銀行)による資産買い入れ政策により各国国債市場の流動性が低下する一方、資金運用難のわが国から多くの資金が流入し、ユーロ圏各国の債券市場では本邦投資家の影響力が格段に強まった。

 その後、トランプ米大統領誕生をきっかけに強まった世界情勢の不透明感の中、本邦投資家のポジション解消がフランス国債利回りを押し上げたものと推察される。

 3月末が本邦金融機関の決算に当たることを考えれば、早ければ4月に、資金運用難の中で一定の利回りが期待でき、為替ヘッジコストも低いフランス国債に本邦投資家の資金が流入し、今回の長期金利急騰と同じようなペースで同国の長期金利が低下することも十分に想定される。

(SMBC日興証券為替・外債ストラテジスト 野地 慎)