孫正義の20倍の雇用を約束した
アリババの馬雲会長

 工作の対象は、イバンカだけではなかった。中国は、さらにイバンカの夫、トランプのもう1人の娘も取り込むことにしたのだ。

イバンカさんの夫、ジャレッド・クシュナー氏もまた、中国事業のパートナーを通じて中国政府につてを持っている。
さらに、トランプ大統領のもう1人の娘ティファニーさんは、ニューヨーク・ファッション・ウィークで中国人デザイナー、タオ・レイ・ウォン氏のショーをあえて最前列で鑑賞した。>(同上)

 このように、中国は「アッ」という間に、トランプの家族を味方につけることに成功した。こうした工作は、中国の「得意技」である。

 アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)は1月9日、トランプと会談。「米国に100万人規模の雇用を創出する」と約束した。

 ちなみに、ソフトバンクの孫正義社長も昨年12月6日、トランプと会談して「5万人の雇用を創出する」と宣言した。馬雲の約束は、孫氏の実に20倍。2人の「動機」の違いも重要だ。孫氏は、「自分の金儲けのために」トランプに会った。一方、馬雲会長は「習近平の指令」により、「トランプを懐柔するために」会った。

 キャリー・グレイシー氏は、こう書いている。

<中国では民間企業にさえ共産党の末端組織が存在しており、国家の戦略的利益となると政府の命令に従うよう求められる。>(同上)

 そして、トランプ・馬雲会談についてはこう述べている。

ジャック・マー氏は任務を背負っており、政府の方針にも沿っていた。ニューヨークのタイムズ・スクエアの屋外広告に、トランプ氏への春節の挨拶を掲載するため資金を提供した他の中国系企業100社も同様だった。>(同社)

 米国では、「金持ちが政治家を支配している」といわれる。つまり「金権政治」である。一方、共産党の一党独裁国家・中国では、2兆円以上の資産をもつ馬雲氏でさえ、習近平の命令に逆らえない。それどころか、「お国のため」には他国の大統領「懐柔工作」もする。これが、中国の「異様さ」であり、「強さ」でもある。