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業界ごとにデジタル戦略は違うのか?
注目4分野の動きをまとめる

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第66回】 2017年3月10日
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製造業におけるデジタル化の動向

 製造業は、Industrie 4.0やインダストリアル・インターネットに代表される革新により、早期からデジタル化の影響を大きく受ける業種となることが予想される。なかでも、IoTを活用した製品のスマート化、3D技術を活用した付加製造技術、製造工程全般のデジタル化によるスマートファクトリーが、幅広い製造業において今後重要なテーマとなることが予想される。

 また、製造現場や倉庫・物流分野におけるAIやロボティクス技術の活用は高度化し、さらに自動化や無人化が進むことが予想される。そして、スマート製品から収集されたデータを組み合せたり、分析したりすることで新たな適用分野が生まれ、それを事業として推進するデジタルビジネス企業も多く登場するであろう。大量生産大量消費を前提する経済パラダイムは衰退に向かっており、製造業のサービス業化を目指したビジネスモデルの転換が加速することが予想される。

流通業ではソーシャル活用も視野に

 流通業の中でも、とりわけ大規模な店舗を多数展開する百貨店、GMS、量販店にとって重大な課題は、ショールーミング現象(店舗で確認した商品をその場では買わず、ネット通販によって安い価格で購入すること)への対応策となるであろう。

 そのために対応に有効となるのが、O2O/オムニチャネル戦略だと考えられている。また、IoTを活用した顧客動線分析や店頭プロモーション、AIを活用した接客や問合せ対応、データに基づく店舗・棚割最適化といった顧客接点の最前線におけるデジタル革新も進むであろう。

 訪日外国人による爆買いが沈静化し、今後国内人口が減少する中、製造業と同様にいかに「モノ売り」から「コト売り」に転換できるかが鍵となり、デジタル技術を活用した顧客体験の高度化と商品以外の付加価値の提供が戦略テーマとなると考えられる。

 また、ネットやSNSの普及により、生産者と消費者が直接つながる機会が増えたり、「買う」だけなく「借りる」「共有する」「修理して長く使う」というライフスタイルが台頭してきたりしており、流通業の提供する価値をいかに再定義するかという課題も浮上している。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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