BBCの生放送に子どもが乱入?
世界が許した仕事中のハプニング

シンガポールで最も有名な観光地の1つ、マーライオン(セントーサ島)前の筆者

 今月突如として「世界で一番有名になった家族」が登場したのをご存じだろうか。

 ことの発端は今月10日、英BBCのニュース番組の生放送だった。韓国在住のロバート・ケリー釜山大学准教授が、韓国の政変について解説していたところ、自身の2人の幼い子どもが次々と部屋に入ってきたのだ。ケリー氏は「申し訳ない」とBBCのキャスターに謝罪しつつも、動揺することなく解説を続け、妻が急いで子どもたちを部屋から連れ出した(BBC News Japan)。

 そのコミカルな映像は、瞬く間に世界中で話題となった。発信元である英BBCも公式サイトで取り上げ、ケリー一家に後日談のインタビューも行われた。各メディアがこぞって取り上げたので、ご存じの方も多いと思う(BBC News Japan)。

 この件で筆者が感動したのは「緊迫する話題を取り上げていたニュース番組で、子どもによる放送事故を世間が許した」ことだった。

プライベートと仕事の融合が
「働き方改革」定着のカギ

 そこで筆者は考えた。この英BBCのようなことが、日本の厳格なニュース番組で起こったらどうなるのだろうかと。

 ネット上では話題となり面白がられるかもしれないが、当事者は放送事故を起こした張本人として、二度と解説の仕事を受けることはなくなるだろう。背景には、政治・経済を扱うニュース番組はもちろんのこと、ときには一般企業の職場でさえも、そこで働く人のプライベートが垣間見えると周囲から「不謹慎」と捉えられてしまう、日本特有の風潮があるからだ。

 こうした風潮は、政府が主導する「働き方改革」にとって大きな壁となる。なぜなら、働き方革命の大本命である「在宅勤務」は、そもそも「プライベートなハプニング」から逃れにくい業務スタイルだからだ。それを「不謹慎だから」という理由だけで許容できない社会とは、いかなるものか。