参考までに図の右半分に男性の動きを示しておいたが、年齢にかかわらず一貫して肥満へ向けての傾向が著しくなっており、これとの対比で女性の動きの特異性がなおさら目立つかたちとなっている。男性だけが、飽食化へ向かう先進国一般の傾向に沿っているのである。

 体格についてこんなに異なる方向のトレンドをたどっているのを見ると、日本人の男女は同じ生物種とは思えないぐらいである。男性と女性で健康志向そのものにそれほどの差があるとは考えられない以上、女性ばかりが痩身化傾向をたどった理由としては、健康志向ではなく、美容志向によるものだといわざるを得ない。

装飾による美でなく
身体の美を目指す日本人女性

 1985年当時30万人だった働く美容師の人数は2015年度末には50万人を越えている。これは、女性の身のまわりの用事の生活時間の増加と平行した現象である。

 1960年代のシームレス・ストッキング導入、ミニスカート・ブームにはじまり、バブル期のワンレンボディコン、ハイレグ水着、1990年代に入って茶髪の普及・浸透、アニマル柄、ネイルアート、21世紀に入って、ローライズパンツ、レギンス、ファストファッション、カワイイものブーム、美魔女とファッションの動きは果てしない。しかもこれは芸能人など一部の特殊階層だけのトレンドではないのである。生活時間や身体測定の統計データにこれだけ明瞭にあらわれる動きであるからには国民全体の動きを示すものだといってよい。

 欧米と比較したデータによると、日本人の服飾費にかける家計支出はそう多くなく、むしろ、身のまわりの用事に費やす時間は長い。装飾による美というより、身体の美を際立たせるためのおしゃれが日本人女性の特徴なのである。

 昔と比べ、道や電車で見かける女性がみんなキレイになったという印象をもつ男性は私だけではあるまい。日本人女性はどこまで身のまわりの用事の時間を増やし続けるのであろうか。日本人女性は、ここまで身体に磨きをかけ、一体、どうしようというのだろうか。

(統計データ分析家 本川 裕)