転職判断の最大のポイントは
「次の仕事の内容」

 転職活動のあれこれについて言いたいことはまだまだあるが、「自分という商品を売る商談だ」と考えて、ビジネスパーソンとしての常識を最大限に働かせて判断してほしい。

 転職が可能な先が見つかった場合、「現在の会社で異動を受け入れる場合」と「新しい職場」とを比較してみて、後者がいいと思った場合には、先ほどの点数に無関係に転職を決断して構わない。

 人は、現在持っているものに執着する傾向がある。新しい環境には不安があり、また、自分が決断を下す場合に「後悔」する可能性を過剰に嫌いがちだ。「両者が甲乙付けがたいくらいの評価なら、多分転職した方がいいのだろう」というくらいに考えておくのがちょうど良いのではないか。

 転職の成否にあって、最も重要なことは、次の職場で、自分がどのように仕事をするのか、「納得できる仕事の内容をしっかり確定」してから、転職を決めることだ。求職側も採用側も結論を急ぐことがあり、「詳しいことは、入社してから様子を見て決めていきましょう」と、仕事の内容を確定することをつい後回しにしがちになるが、これは、しばしば失敗の原因になる。仕事に際して使えるリソース、権限などについても、交渉力があるのは、入社後よりも入社前なので、なるべく事前に決めておきたい。

 仕事の内容が「思っていたのと違う!」と入社してから気づく場合が、現実には、少なからずある。しかし、こうした不運に見舞われた場合でも、仕事の内容が想定通りで、自分の人材価値を損なわないようなものであれば、再転職しても人材価値を大きく下げずに済む。転職判断の最大のポイントは、何といっても「次の仕事の内容」である。

 駆け足で説明したが、「転職」というオプションを持つことによって、ビジネス人生の選択肢を拡げられることがお分かりいただけたのではないだろうか。読者には、マイナス点の大きな不本意な人事異動に負けないことを希望する。

 最後に、実は、転職は、自分で自分の進路を決めるプロジェクトなので、その達成には、しばしば少なからぬ「快感」を伴うことを申し添えておきます。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)