日本を代表する大手名門企業、東芝の経営が危機に瀕している。2015年に発覚した「利益水増し」の不正会計問題に続き、2016年12月以降は米原子力事業での損失発生が経営の屋台骨を揺るがしてきた。来年3月末の時点で債務超過が解消されていないと、東芝は上場廃止になる。それまでに東芝は事業の切り売りをしながら資金繰りをつなぎ、同時に、再建の柱となる成長事業を育てなければならない。名門企業が泥沼にはまりこんだ理由を考えると、多くの日本企業にとっても、とても対岸の火事では済まされない。

目先の成長追った経営者
コーポレートガバナンスの不全

 何が東芝の経営危機につながったかに関しては、様々な指摘がある。主なものに、巨額の投資資金がかかる割には商品として収益を稼げるサイクルが比較的短い半導体に経営資源をつぎ込み過ぎた、米国での原子力事業のリスクを見落としたといったものがある。それに加え、東芝の経営者が目先の収益拡大に心血を注ぎ過ぎたことも忘れるべきではない。

 2008年度から2014年度期中までに、パソコン事業などで行われていた1500億円超の利益水増し操作では、経営者が直接、過大な収益目標の達成などの無理難題を現場に押し付け、それが現場での不正な会計処理につながった。こうした近視眼的な経営の暴走を食い止めるためには、企業統治=コーポレートガバナンスの整備と機能の発揮が欠かせない。その役割は、過剰な収益追求、リスクがないかを第3者の視点で評価し、経営者の目線を長期重視のものに促すことだ。

 日本の大手企業の中でも、東芝は積極的に社外取締役を登用し、米国流の企業統治制度である“委員会設置会社”にもいち早く移行し、経営の透明性や監督強化に取り組んできた。それだけにガバナンス先進企業の経営危機は、制度を整えてもそれだけではガバナンスが機能しないことを示す教訓だ。多くの企業がガバナンスの強化に勤しむ中、何が東芝のガバナンスの機能不全を招いたか、冷静に考える必要がある。