「WBC疲れ」はあるのか?
過去3大会をチェック

 まず第1回大会(2006年)では前年より明らかに成績が落ちている選手がふたりいる。松中信彦(ソフトバンク=所属は当時・以下同)と和田一浩(西武)だ。松中はWBC前年の2005年は46本塁打、121打点で本塁打王、打点王の2冠に輝いたが、WBCがあった2006年は19本塁打、76打点と成績は急落した。和田も2005年は27本塁打を記録したが、2006年は19本塁打に減ってしまった(そのかわり打点は2005年=69、2006年=95と増えている)。

 第2回大会(2009年)の出場者で成績が落ちたのは村田修一(横浜)と栗原健太(広島)。村田は2008年は46本塁打(本塁打王)、114打点と打ちまくったのに2009年は25本塁打、69打点に、栗原も打点が103から79に減ってしまった。第3回大会(2013年)では稲葉篤紀(日本ハム)が成績を落とした。2012年は10本塁打、61打点、打率2割9分だったのが2013年は3本塁打、24打点、打率2割3厘まで落ちたのだ。

 ただし、WBCに出場した選手の多くは成績にそう大きな変化があるわけではないし、なかにはWBCがあったシーズンの成績が前年を上まわった選手もいる。たとえば第2回大会の阿部慎之助。本塁打は24から32、打点は67から76、打率も2割7分1厘から2割9分3厘とすべてアップしている。また、今、調子が出ていない松田も第3回大会を挟んだ2シーズンを比較すると本塁打が前年の9本から20本に、打点も56から90に増えている。

 つまり、こういうことではないだろうか。

 WBCがあったシーズンに調子を落とす出場選手は確かにいる。だが、それは大多数ではないのだ。WBCの影響などは考えずに本来の自分のバッティングを取り戻すこと、そしてWBCの重圧を経験したことで自分は成長したと思えるような選手はシーズンを通して不調で終わることはないはずだ。

 WBCによって野球の面白さを再認識した人が数多くいたことは間違いない。その効果を生かすためにも、出場選手たちには影響など感じさせないプレーを見せてほしいものだ。

(スポーツライター 相沢光一)