エルメネジルド ゼニアは、ミラノのモンテ・ナポレオーネ通りにあるグローバル・ストアの建物最上階に、ビスポークのためだけのアトリエをオープンした。自社の生地によるフルオーダーのビスポークは元来、最高級なファブリック・メーカーである同社の究極のラグジュアリーサービスと言えるだろう。
ビスポークというその名の示す通り、顧客と対話を重ねながら究極の製品を作り上げることは、ブランドと顧客の絶対的な信頼関係を生み、ブランドとしての価値を大いに高めるに違いない。また顧客にとっても、自分のためだけに一つ一つ丁寧に仕上げられた製品には、この上ない愛着が生まれるに違いない。
ビスポークの顧客にはアトリエに足を踏み入れる前から、特別な“おもてなし”が始まる。グローバル・ストアが面する華やかなモンテ・ナポレオーネ通りの裏側にある、静かなビッリ通りに特別なエレベーターが用意され、案内係にアトリエまでエスコートされるが、それはある種ミラノらしい親しみやすさでもある。
アトリエは近代都市ミラノを創り上げたジオ・ポンティなど建築の巨匠たちへのオマージュをアクセントに、快適でさりげない高級感に満ち溢れる。奥に位置する工房、マスターテイラーの場所以外は、誰でも訪れることのできるスペースとして、ゼニアのこれまでの歴史を感じ取ることができるようになっている。