商売で勝つために、「品質」よりも大事なこと
孫社長が常識外の行動をとったことで、業界の常識そのものが変わってしまいました。
ちなみに、懸念材料とされていた通信速度については、さほど大きな問題にはなりませんでした。
ユーザーにしてみれば時々速度が落ちることはあっても、「それまで使っていたISDNよりは断然速くなったんだから、これでいいよね」とメリットを実感できたのでしょう。
「ADSLとはこういうもの」という認識が広まれば、それが新たな常識になります。
通信業界における過去の経験則にとらわれて、「やるか、やらないか」の議論を続けていたら、こんな未来は永遠にやってこなかったかもしれません。
このように、ソフトバンクがADSL事業で大きな成果を上げられたのは、特別に品質が高いサービスを提供したからではありません。
他の人がやりたくないことを、誰よりも先駆けてやっただけです。
孫社長があるとき、事業成功の秘訣としてこう言ったのを今でもよく覚えています。
「人がやりたがらない商売ほど、儲かるんだぞ!」
他の人が「やらない」という答えを選択するような仕事やプロジェクトほど、実行すれば大きな成功につながる。だから、「まず実行する」ということが大切なのです。