恋愛も人間関係のセンスも
リーガルマインドで磨ける!
もうひとつ例え話を…
ある男性が気になる女性を映画に誘ったとします。すると女性が次のように言いました。
「忙しくて…、また、こちらから連絡します」と言いました。
ある程度の恋愛経験を積んだ男性なら、「どうも脈はなさそうだ…」と理解するはずです。しかし、経験の浅い場合には「向こうから連絡をくれると言った!」なんて舞い上がる場合もあるでしょう。もっと経験に乏しい場合だと、あろうことか、「どうして、連絡してくれない?」なんて、待ちきれなくなって電話をしてしまうかもしれません。
「忙しくて…、また、こちらから連絡します」は、形の上では断る理由も述べていますし、向こうから電話なりメールなりをくれそうな表現です。しかし、「今週は忙しくて」と時期を限って断る場合や、「決算期なので」などと、理由を明らかにする場合はともかく、ただ、「忙しい」というなら脈はありません。「また、こちらから連絡します」は、「もう、連絡してこないでください」の意味に近いかもしれません。
もちろん、こうした表現でも、お互いの距離次第では、違った意味になるでしょう。ある程度の親しい関係ができているなら、本当に彼女から連絡が来ることもあるはずです。
私たちは普段、ビジネスな関係とは別に、親しい人との関係を作っています。この2つの関係は全くの別物です。例えば、家族との関係は「無償の愛」で」支えられているものですが、ビジネスの関係では「相応の愛」で支えられた関係です。ときには、ビジネスの関係から、親しい友人関係になることもあります。しかし、少し前の日本に存在した「社員は一家」みたいな疑似家族関係は、目的遂行のためのビジネス関係なのです。その意味では、やはり、人間関係は2つに分けられるといえます。
この2つの関係においては、言葉への接し方を変えることを意識しなければなりません。ビジネスの世界では、かなり言葉を選んで使います。そして、その言葉の意味を正確に押さえた上で、それぞれの状況の下で理解しなければならないのです。ビジネスの世界では、意味のない言葉などないことも理解すべきでしょう。埋め込まれたシグナルを読み解くことが必要なのです。