では、ホンダの競争相手となるライバル会社はどんな会社があるのでしょうか。プライベートジェット機は参入障壁が高い業界だけに、ライバル会社は多くありません。アメリカ市場で有力なライバル会社は、アメリカのセスナ社とブラジルのエンブラエル社くらいです。セスナは小型飛行機の代名詞にもなっている会社で、エンブラエルは日本ではあまりなじみがありませんが、ブラジルでは最大の輸出企業です。同じ輸送機器の業界でも、自動車業界と比べるとライバルの少なさがご理解いただけるでしょう。
新規事業への参入は短期間での成果を求めるあまり、ともすると参入障壁の低い業界へ目が向きがちです。それはすなわちライバルが多く競争が激しい業界ということになり、よほどの差別化ができないかぎり、利益という果実を得るのは容易ではありません。
ホンダが参入したプライベートジェット機業界に参入するには長い準備期間が必要ですし、高い技術力も要求されます。規制当局との折衝も一筋縄ではいかないでしょうし、試験飛行には人的な危険も伴います。技術陣、経営陣ともに忍耐のいる仕事です。ただ、こうした苦労を重ねてきたからこそ、得られる果実も大きいのです。
自動車事業、オートバイ事業と並ぶ3つ目の柱を確保したホンダ。20年間にわたりコツコツ続けてきた努力の成果が日の目を見るのはもうすぐそこにきています。