「母親になり、生きる目的が180度変わりました」と元大手航空会社客室乗務員の原田久美さん(仮名、40歳)は言う。
「どんな風に変わったのでしょうか?」
「会社員時代は仕事が一番。今はとにかく、健康が一番ですから」
現役でフライトをしていた頃は、月に8~11日はホテル泊まり。自宅に帰るとぐったりで、食事も外食で済ませてしまうことが多かった。
4年前に娘を出産してからは、野菜は無農薬・有機栽培の直販サービスを利用するようになり、「健康にいいから」とドクダミ茶を毎日1リットルは飲み、平日は毎朝、にんじんとりんごをジューサーにかけて、家族みんなで飲んでいる。
理由はいたってシンプルである。
「子どものために長生きしなくちゃ、と思うようになりましたから」
バブル真っ只中に航空会社へ入社
ブランドのバックや財布はCA必携だった
バブル経済――。ある人はそれを否定し、ある人はうらやましがる。しかし、その渦中に青春時代を過ごした世代にとって、それはただ単に「懐かしがる」ものである。
原田さんが短大を卒業し某大手航空会社に入社したのは1991年のこと。「どんな仕事をしたいか」よりも企業名で会社を選んでいた。
「ほんとに何も考えてなかったんですよね。先輩が入れたんだから、わたしも入れるだろうくらいの軽い気持ちで受けてしまって」
「制服に憧れたとかは?」
「それもぜんぜん」
「だけど、やってみたら性には合っていた?」
「それはありますね。ほかの仕事をした訳ではないのでわかりませんが、接客をしているうちに、これが自分のやりたいこと・したいことなんだなと思うようにはなりました」