2010年12月の発売以来、日本でもザッポスおよびトニー・シェイのファンを増殖させている書籍『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説』ですが、数回に渡り、日本のさまざまな層のザッポス伝説ファンの情熱を紹介。ベンチャー、顧客サービス、企業文化、生き方など、同書を多様な視点から読み解いていきます。今回は、日本を代表するベンチャーキャピタリストのグロービス・キャピタル・パートナーズのパートナー、仮屋薗聡一氏にお話をうかがいました。
ザッポスの歩みが
自分の仕事と重なる
(かりやぞの・そういち)
グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー
慶應義塾大学法学部卒、米国ピッツバーグ大学MBA取得。株式会社三和総合研究所でのコンサルティング、株式会社グロービスのベンチャーキャピタル事業設立を経て、1999年よりAGP(現:GCP)にてデジタルメディア、ITサービス、ソフトウェア関連の投資を担当。著書に、『ケースで学ぶ起業戦略』(日経BP社)、『MBAビジネスプラン』(ダイヤモンド社)、『ベンチャーキャピタリストが語る起業家への提言』(税務研究会)がある。
日本におけるベンチャー・キャピタルは金融機関系が多いというのはよく知られたことですが、そうした多数派とは異なり、アメリカ的なスタイルを保ちつつ、日本市場にマッチしたベンチャー投資を実践してきた仮屋薗氏。『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説』は、自身の仕事との関連するシーンが盛りだくさんだったそうです。
同書には、ザッポスの株主だったアメリカのベンチャー・キャピタル、セコイア・キャピタルとの葛藤の日々が記されていますが、日本で同業に携わる仮屋薗氏は、その当事者の立場や気持ちがよく分かるということかもしれません。独特の見解と同時に、これからの企業、そして投資家/株主のあり方についての展望を投げかけてくれました。
「日本のベンチャー投資業界は、現在、とても厳しい状況ですが、我々は生き残った一社としてよいベンチャー企業をつくっていくべく、活発に投資をしています。今年はアイスタイル、オイシックス、カヤックなど、特に独自の価値創造をリアルにやっている会社に投資しました。そういう意味でも『ザッポス伝説』に刺激を受けることは多いです」