すでに焦点となっている菅退陣後の政権問題
難題を抱える大連立への道

 不信任案をめぐる菅直人首相の“あざとさ”によって、世論の菅離れが急速に進んでいる。

 その上、岡田克也幹事長や枝野幸男官房長官まで、首相の早期退陣を既定の流れと受け止めるようになった。

 そして、政局は、菅退陣後の政権形態、あるいはポスト菅の首相選びにまで発展するに至っている。

 自民、民主の双方が両党の連携を容認しているから、今後は、「どんな大連立や連携にするか」が最大の問題となりそうだ。

 ①首相をどの党から出すか。②期限を設けるか。③政策協定をどうするか。④解散の時期。⑤公明党など他党をどうするか。

 どれも頭の痛い問題ばかりだ。

 その上、民主党の代表選びという難題も控えている。

民主党とすれ違う
自民党・谷垣総裁の思惑

 報道によれば、大連立と言っても同床異夢で、自民党にも民主党にもそれぞれ違う動きがあって一筋縄にはいかない。

 両党ともに、党内をまとめる人物がいないから収拾がつかない恐れもある。

 自民党の谷垣禎一総裁は、必ずしも大連立を歓迎しているようには見えない。その慎重な発言は注目に値すると私は思っている。

 おそらく、谷垣総裁が考えているのは、政権の仕組みを議論するのは菅首相が退陣し、民主党の新代表が決まってからのこと。協力するにしても、“限定した課題”での“閣外協力”ではないか。しかも、協力の条件として早期解散を民主党に突きつけるだろう。

 “限定した課題”とは、被災地の復旧、復興を軌道に乗せることと原発事故の収束の2つだろう。

 “閣外協力”だから、自民党議員を入閣させない。ただ、大震災関連対策本部に相当数の議員を送り込み、いくつかの本部長も自民党議員が務める。そんなところではないか。