ゲーム業界最大のトレードショー「E3 (Electronic Entertainment Expo)」が6月7日~9日、米ロサンゼルスで開催された。今年は、任天堂の家庭用ゲーム機「Wii」の後継機「Wii U(ウィー ユー)」やソニーの携帯ゲーム機「PSP」の後継機「PlayStation Vita (プレイステーション・ヴィータ)」の発表など大型ニュースが相次ぎ、話題に富んだイベントとなった。そこで今回は「E3スペシャル前編」として、現地時間6月7日の任天堂プレスカンファレンス後に行われた同社岩田聡社長とのグループインタビューの内容をお伝えする。(※インタビュー原稿には後日個別に確認した内容も加筆)

――今回のプレスカンファレンスの手応えは?

(いわた・さとる)1959年北海道生まれ、51歳。1981年、東京工業大工学部情報工学科を卒業後、HAL研究所に入社。92年、社長。2000年任天堂入社、取締役経営企画室長、02年現職

 海外のイベントでは、お客さんが一緒にイベントを楽しもうとして、声を上げたり拍手をしてくださいますから、反応がはっきりわかります。

 たとえば、宮本(茂同社専務。下の写真の中央の人物)は日本のゲーム業界の代表として拍手喝采で迎えられるのですが、私はいつもそれをステージの袖から見て「ああ、日本のゲーム業界の代表として、こうやって世界中の人から拍手で讃えられるんだ」と胸がジーンとします。今回もそれを感じられて、とてもよかったと思います。

 一方で、我々が「どうなるんだろう?」と思っていたのは、会場で流れた「Wii U」のコンセプトビデオに対する反応です。もちろん、我々も長い時間をかけてコンセプトを練りこみ、「これはおもしろいはずだ」と思って提案しています。ですが、長年やっているせいで、初めて見た人にどの部分が驚いていただけるのかが、だんだん分からなくなってくるんですね。

 その状況の中で、今回はゴルフや手裏剣のシーンで「オオーッ」とどよめきと歓声が上がりました。これはお客様の内発的な反応であり、こちらは一切コントロールできません。そのような反応をいただけて、「あっ、ここで歓声が上がるんだ」と確認できたことは、手応えがありました。

 ただ、今回のビデオで「Wii U」のおもしろさのすべてをお伝えできたとは思っていません。「発売までにまだまだやることがあるな」と思ったことも事実です。